文研ブログ

メディアの動き 2023年08月22日 (火)

【メディアの動き】NHK,NW9の新型コロナウイルス 関連動画をめぐり関係者を処分し,調査結果を公表

7月21日,NHKは5月15日に放送した『ニュースウオッチ9(NW9)』のエンディング動画の中で不適切な伝え方があったとして,取材を担当した職員や上司の編集責任者等を処分するとともに,内部調査の結果を公表した。

動画のテーマは「新型コロナ5 類移行から1週間・戻りつつある日常」。
約1分間の動画の中で3人の遺族のインタビューを紹介したが,実際はワクチン接種後に死亡した人の遺族であったにもかかわらず,新型コロナに感染して死亡した方の遺族だと視聴者に誤認させる伝え方をしていた。

翌5月16日のNW9では,NHKに遺族を紹介したNPO 法人理事長の反応やSNS 上の批判を受けて謝罪。
7月5日には遺族らがBPO放送人権委員会に申し立てを行い,放送倫理検証委員会でも審議入りが決まっている。

なぜこうした問題が起きたのか。調査報告では,職員等の社会問題に対する認識の欠如,担当者間の情報共有不足,提案・取材・制作におけるチェック不足,取材先や視聴者に対する真摯な姿勢の欠如があるとしている。
NHKは2021年12月放送のBS1スペシャルにおいて,誤った内容の字幕をつけるといった,取材者や視聴者の信頼を損なう問題を起こしている。
再発防止策として,放送ガイドラインに沿って複眼的試写を行うなどのチェック機能の強化が行われたが,再び問題が起きてしまった。
NHKは今後,議論を尽くす組織への改善等を行っていくという。公共放送を担う1人1人の意識が根底から問われている。