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メディアの動き 2023年07月14日 (金)

【メディアの動き】EU議会,生成AI含む規制案を採択

 AI=人工知能に対する包括的な規制の整備をめざすEUのヨーロッパ議会は,6月14日,ChatGPTなど生成AIも対象にすべきとする修正案を採択した。

 EUの執行機関にあたるヨーロッパ委員会は,世界にさきがけて2021年にAIに規制を設ける法案を提出していたが,生成AIについては触れられてはいなかったため,今回,修正が加えられた。

 規制案では,AIについてのリスクを「容認できない」から「最小限」の4段階に分類し,それぞれのレベルでAIサービスの提供者とユーザーへの義務を定めている。

 捜査当局がAIを使った生体認証システムをリアルタイムで使うことを原則として禁じ,所得や職業などに関する政府のデータに基づいて市民を格づけする「ソーシャルスコアリング」(social scoring)のために利用することを禁じている。

 また生成AIについては,▼AIを使って作られた文章や画像,音声などはAIで作られたことを明示し,▼AIに学習させるために著作権で保護されたデータを利用した場合は公表することなど透明性の義務を課す,としている。

 こうした規制に違反した場合には,最大で4,000万ユーロ(約60億円)か,法人の場合は年間売り上げの7%のいずれかの高いほうを罰金として科すとしている。

 EUは今後,ヨーロッパ議会と加盟国が協議を重ねて最終案を作成し,年内の合意を目指す。

 AIをめぐっては,コンピューター大手のMicrosoftやIBMなどが何らかの規制は必要だとの立場をとるのに対し,FacebookやInstagramを運用するMetaなどは慎重な姿勢で,EUの規制案についてさまざまな意見が出るものとみられる。