文研ブログ

メディアの動き 2023年12月14日 (木)

【メディアの動き】NHK『クロ現』,元NHK記者・佐戸未和さんの過労死について取り上げる

 11月15日,NHKの『クローズアップ現代』は,過労死防止法成立からまもなく10年のタイミングで,「シリーズ#働き方を考える  職場の死をなくすには~働き方改革の“ひずみ”~」を放送し,NHK記者だった故・佐戸未和さんの過労死について取り上げた。

 10年前の2013年,当時31歳だった佐戸さんは亡くなり,労働基準監督署から過労死と認定された。番組では「過労死の問題はNHKも当事者」としたうえで,遺族の現在の悲しみとともに,同僚だった記者の声を初めて放送した。

 記者の1人は「あとあと働き方改革と言われるようになって時間が制限されるようになって,そこで初めて気づけたんですよね。自分たちが働きすぎていたって」と,当時の働き方に疑問を持たなかったことへの後悔の念を話した。

 続いて,労働時間に一定の制限を設けたり,宿泊勤務の負担を軽減したりするなど,NHKの報道現場での長時間労働の抑制策を報告した。
一方,4年前に管理職の記者が再び過労死と認定されたことに触れ,「働き方改革は途上」であるとした。番組では,NHK以外の職場の事例にも触れ,労働時間が減っても業務量が減っていないという根本的な問題を指摘した。佐戸さんの過労死については,詳しい事実関係の解明を遺族が求めたことから,NHKの説明責任について報道各社から疑問を呈されてきた。

 今回,佐戸さんの過労死について説明を尽くしたかは,視聴者の判断に委ねられる。NHKには佐戸さんの死を語り継ぎ,社会全体で過労死をなくしていくための発信が求められる。