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メディアの動き 2024年04月15日 (月)

【メディアの動き】NHKのネット活用業務の必須業務化を盛り込んだ放送法改正案,国会へ提出

 2014年以降,任意業務として実施してきたNHKのネット活用業務を必須業務化することを盛り込んだ放送法改正案が,3月1日に国会に提出された。

 必須業務の対象は,同時・見逃し・番組関連情報の配信である。番組関連情報は「NHKの放送番組の内容がその視聴の環境に適した形態で提供されることに対する公衆の要望等を満たすため」とし,番組と密接に関連があり番組の編集上,必要な資料に限定するとした。

 なお,番組関連情報については,NHKに対して,基本方針や内容などを定めた業務規程を策定・公表して総務大臣に届け出ることを義務づけている。業務規程は,①公衆の要望を満たす,②公衆の生命や身体の安全を確保する,③民放や新聞社などが行うネット配信との公正な競争の確保に支障が生じない,の3点に適合するものとし,基準に適合しない場合には,NHKに対し,変更の勧告を行えるとした。

 必須業務化のねらいは「NHKの放送番組をテレビ等の放送の受信設備を設置しない者に対しても継続的かつ安定的に提供するため」である。改正案ではスマホなどを所持するだけでは費用負担の対象とはせず,視聴希望の意思を示した人を「放送の受信設備を設置した者と同等の受信環境にある者」とし,NHKとの受信契約の締結義務の対象とするとした。

 番組関連情報の具体的内容や競争評価については,新聞や民放が参加する総務省の会議で議論が継続中だ。政府は改正案について今国会での成立を目指すとしている。国会では視聴者目線の議論を期待したい。