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メディアの動き 2023年08月21日 (月)

【メディアの動き】英BBC,国際サービス利用者大幅減

イギリスの公共放送BBCは7月11日,2022年度の年次報告を発表した。
受信許可料の値上げが見送られ,財源削減策を進めたことなどの影響で,国際放送サービスで大幅に利用者が減少したことが明らかになった。


報告書によると,BBCの受信許可料による収入は,支払い件数が43万7,000 件減少した結果,37億4,000万ポンド(約6,769 億円)と前年比で1.6%の減少となった。
その他の収入は,商業部門の売り上げが28%伸び,19 億8,500万ポンド(約3,593 億円)となったが,インフレの影響やデジタル投資などで支出が増えた結果,グループ全体の収支は1億2,000万ポンド(約217 億円)の赤字となった。
利用実績は,統計の取り方を変えたため前年との比較はできないが,16歳以上の週間接触率は69%だった。
また動画配信サービスiPlayerの利用件数は前年比11%増の73 億件で過去最多となった。
一方,世界でBBCのテレビやラジオ,ウェブなどを利用した人は4 億4,700万人で,前年比9%減となった。
特に2022 年に一部言語のラジオ放送の廃止や人員削減策などを決めた国際放送BBC World Serviceでは,43のサービスのうち29で利用者減となった。
西アフリカで使われるヨルバ語やインドネシア語が70%以上の減となる一方,中国語は26%,ロシア語は19%,ウクライナ語は11%の増となった。


BBCは2023 年から,偽情報対策や同局のブランドを広める効果が低いプラットフォーム経由でなくBBCに直接アクセスしてもらうことを優先するとしたうえで「ニュース環境の変化や,経費削減のために国際放送は今後も難しい決断が必要になる」としている。