文研ブログ

メディアの動き 2023年07月15日 (土)

【メディアの動き】NHK放送文化研究所で世論調査対象者1,200人の個人情報紛失

 NHK放送文化研究所(文研)は6月2日,2022年11月に実施した世論調査「ISSP『家庭と男女の役割』に関する国際比較調査」の対象者1,200人分の個人情報が記載された資料を紛失したと公表した。

 紛失したのは,住民基本台帳法に基づいて自治体の台帳から閲覧・抽出し,2023年1月,委託先の調査会社から提出を受けた調査対象者の「氏名」「住所」「生まれた年」「性別」が書かれた資料100枚。

 1枚に12人分の情報が記載されていた。

 資料は研究所内の施錠された棚で保管されていたが,原則半年間の保管期限を前に廃棄のために確認した際,紛失に気づいた。

 居室内を繰り返し探したが見つからず,総務省などに報告するとともに,対象者にお詫びと経緯等を説明する書面を発送した。

 紛失した資料が流出,または悪用された事実は確認されていない。

 文研では,世論調査に関する個人情報の内部ルールを設け,保管場所から資料を取り出す際には名前や資料名などを台帳に記録することにしていたが,徹底されていなかった。

 NHKは「調査へのご協力をお願いした皆様や自治体の方々に大変ご迷惑をおかけし,深くお詫び申し上げます。(略)管理体制を強化し,二度とこのような事態を起こさないよう,対策を徹底してまいります」とコメントしたが,法律で住民基本台帳を利用できる特別な配慮を与えられていたにもかかわらず,個人情報の管理が甘かったことは痛恨の極みであり,筆者も含め,組織全体で文字どおり管理体制の抜本的な改革に取り組んでいかなければならないと考える。