ことば塾「方言&仏教用語」佐藤アナ
- 2023年06月16日
今回のテーマ「方言&仏教に関わることば」
視聴者の方からいただいたお便りからご紹介します。
肥後弁の辞典を調べてみると 「こらーどうし」の意味、載っていました。
由来は、すぐには分からなかったので、 熊本県立大学で方言の研究などをされている小川教授に聞いてみました。
まず、「こら」は、「これは」を略したものだろうとのこと。 そして、「どーし」は、熊本県方言辞典に載っていますということでした。「どーし」の意味は、「どうして」という意味、英語でいうwhyのニュアンスのようです。 どうして、を略したような形なんですかね。
このことからも、「こらどーし」は「これはどうしたことか」という意味で使われていると分かります。「こらどうしてまあ!」のように、感嘆するニュアンスでも使用されるようです。
2つ目のテーマ「方言&仏教に関わることば」
方言以外にも、住む地域や所属するグループによって異なる特有のことばがあるか、考えてみました。そこで思いついたのが、「仏教に関わることば」です。 今回は、なかでも、使う際に少し注意が必要な表現をご紹介します。
ひとつめは、「他力本願」です。
一般的に、「もっぱら他人の力をあてにすること」の意味で使われることが多いですが、本来は、仏教関係のことば。 「すべての人を救おうとする阿弥陀の願いによって成仏すること」という意味があります。
以前、広告で「他人の力をあてにする」意味で「他力本願」を使った際に、抗議の声が寄せられた例があったそうです。他人の力をあてにすることを表す際は、「人任せにする」などと別の表現で言った方がいいかもしれません。
「唯我独尊」もそうです。
いまは「世の中で自分1人だけが優れているとすること」や「独りよがり」という意味で使われていますが、元々は、釈迦生誕のときのことばからきています。
そのことばというのが…
「天上天下唯我独尊(てんじょうてんげ ゆいがどくそん)」。 本来の意味は、「誰とも代わることのできない人間として、尊い存在」、つまり私たち一人一人の命の尊さを示すことばだとされています。
さきほどの他力本願同様、使う際には、気を遣った方がいいかもしれません。
きょうは方言と仏教関係のことばをご紹介しました。 みなさんからのお便りも、引き続き、募集中です。 どんなことばでも構いません。 ぜひ、NHKのホームページやFAX(096-311-5376)でお寄せください。心からお待ちしています。
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