ことば塾「独壇場」法性アナ
実は、この言葉は元々存在しなかった!?
- 2023年05月17日
今日のテーマ「独壇場」
「ドクダンジョウ」と読みます。多くの皆さんがご存じの通り、以下のような意味があります。
独壇場は存在しなかったとはどういうこと!?
その「独壇場」が、昔は存在しなかったというのです。
以前は「独擅場(ドクセンジョウ)」だったんです。一見同じように見える漢字ですが・・・
手偏か、土偏かの違いがあることがわかります。独擅場の「擅(セン)」は、漢字一文字で「ほしいままにする、ひとりじめする」の意味があります。
ですから、独せん場という熟語に、さきほど書いたような「ひとり舞台」という意味があったんです。
なぜ「独せん場」→「独だん場」に!?
理由2つあると考えられています。
まずはおわかりの通り「文字が似ているから」。 もう一つは「壇(ダン)」の熟語で、場所を表す「教壇」「仏壇」「土壇場」などと混同された可能性もあると言われています。「独せん場」の「ひとり舞台」はまさにその「場所」に近しい表現だということができます。
戦前のNHKのアクセント辞典を見ると「ドクセンジョー 獨擅場」と記載されています。ただその後「独だん場」という用語の定着、慣用化が進む中で、放送でもいまでは「独だん場」を使ってます。 元々、誤った読み方だったものが、定着、そして慣用化して現在に至ったという「誤りが市民権を得た一例」です。
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