ことば塾「木枯らし」「佐藤アナ
- 2023年05月17日
今回のテーマ 「木枯らし」
木枯らしというのは、文字通り、「木を吹き枯らすもの」の意味です。
晩秋(秋の終わりごろ)から初冬(冬の初め頃)にかけて吹く風のことを指します。
そもそも季節風って?
そもそも冬の季節風が生じるのには、気圧配置が関係しています。
寒い冬。水(海)に比べて冷えやすい陸上の空気は、冷たく、重くなって下降し、地上の空気は高気圧になります。反対に、冷めにくい水、この場合太平洋上のあたたかい空気は上昇し、地上の空気は低気圧になっていきます。空気は気圧の高い方から低い方へ流れるので、北または西寄りの風が吹くことになります。これが冬の季節風です。
木枯らしは、この冬の季節風の先陣とも言えます。
ニュースで「冬の訪れを告げる木枯らし1号が吹きました」などと伝えるように、 木枯らし1号は、だんだんと寒い時期になってきて、冬の季節風が吹き始めたタイミングで発表されます。
観測しているのは東京と近畿地方のみ
木枯らしは、日本全国で吹く可能性がありますが、観測しているのは東京と近畿地方だけです。
その木枯らし1号。発表するにあたって、条件も結構細かいんです。 (覚えなくて大丈夫です。)
こちら東京地方での木枯らしの基本条件。
決まった期間内にこれらの基準に満たす風が吹かなければ、 その年の木枯らし1号は観測なし、となります。
東京では、統計を取り始めた1951年以降、8回観測されない年があり、 直近では、2021年、2022年と連続して、木枯らし1号は観測されていませんでした。
ちなみに熊本ならではの風もある!
熊本ならではの風として認識されているのが、この「まつぼり風」です。
阿蘇外輪山の周辺で吹く強風のことを指しています。
上の図は、阿蘇のカルデラを上空から見た図です。
ある一定の気候条件になったときに、外輪山から吹き下ろしたり、西側の谷・外輪山の切れ目から冷たい風が西側の地域に吹き出します。これを「まつぼり風」と呼んでいます。
これがシーズンによっては、西地域に農作物の被害などをもたらすこともあるそうです。
「まつぼり風」の由来は?
由来は、熊本の方言にあるとされています。
「まつぼり」は「へそくり」を意味した言葉で、
「まつぼる」などと言って、ひそかに金や物をためることを表現するそうです。
一説では、阿蘇のカルデラに冷気がたまり、それが吹き出すから「まつぼり」風というのではないかといわれていますが、これは地元住民でも解釈が分かれています。
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