骨粗しょう症の薬による治療 効果と副作用、治療期間、注射等のタイプ

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骨粗しょう症

3つのタイプの薬

薬のタイプと副作用

骨粗しょう症の薬は、破骨細胞と骨芽細胞の働きのバランスを整えます。次の3つのタイプがあります。

  1. 骨を壊す働きを抑える薬
  2. 骨を作る働きを高める薬
  3. 骨の作り替えのバランスを整える薬

多くの薬の中から、患者さんの「骨折の危険性」、「年齢」、「ライフスタイル」などに合わせて選択します。また「背骨に効果が高い薬」や「太ももの付け根の骨に効果が高い薬」など、骨折した部位によっても適した薬が異なるので、総合的に判断して使います。
骨粗しょう症の薬は、正しい用法で継続して使えば、骨密度を高めて骨折の危険性を減らす効果があります。基本的に、骨折を起こした人、骨量を減らすような病気のある人、運動や栄養の摂取が不足している人は、薬を続ける必要があります。

1 骨を壊す働きを抑える薬

1 骨を壊す働きを抑える薬
1 骨を壊す働きを抑える薬

骨を壊す働きを抑える薬は、破骨細胞が骨を壊す働きを抑える作用があり、骨が作られる働きとのバランスを保ちます。「ビスホスホネート」、「デノスマブ」、「SERM(サーム)」があります。

ビスホスホネート

ビスホスホネートは、服用するタイプ、医療機関で注射するタイプや、点滴をするタイプがあります。のみ薬の中でも、1日1回、週1回、月1回など服用間隔が違ういくつかのタイプがあります。点滴薬は、4週に1回、年に1回のタイプがあります。年に1回のタイプは要介護の人や認知症の人、そして高血圧や糖尿病など他の病気で薬を多く服用している人に適していると考えられています。

のみ薬のビスホスホネートを使用する場合、服用前後には空腹状態にしておく必要があり、服用後も30~60分間は上体を起こしておかなければなりません。

もし服用前後に食事をすると、薬の吸収が大きく低下し治療効果に影響を及ぼします。また、服用してすぐ横になると薬の成分が逆流し、食道が炎症を起こしたり、潰瘍ができたりする恐れもあります。

デノスマブ

デノスマブは半年に1回、医療機関で皮下注射する薬です。骨密度を上げる効果は高く、比較的重症の方に使われます。投与間隔が長い、新しい薬です。

SERM

SERMは女性ホルモンのエストロゲンと似た作用があります。骨折のリスクがあまり高くない、閉経後の50~60歳代の女性に多く使われています。

2 骨を作る働きを高める薬

2 骨を作る働きを高める薬

骨を作る働きを高める薬は、骨芽細胞が骨を作る働きを促進する作用があり、骨が壊される働きとのバランスを保ちます。「副甲状腺ホルモン薬」があります。週に1回、医療機関で注射するタイプと、毎日1回、自己注射するタイプがあります。骨折が複数ある人や、骨密度が極めて低い人に使われる薬です。使用できる期間は24か月間です。
2019年2月に「1骨を壊す働きを抑える」と「2骨を作る働きを高める」の2つの特徴をあわせ持つ、「ロモソズマブ」という月1回の注射薬も登場しました。(「ロモソズマブ」は血栓症の既往のある場合や動脈硬化のリスクが高い場合には注意が必要です。)

3 骨の作り替えのバランスを整える薬

3 骨の作り替えのバランスを整える薬

骨を壊す働きを抑え、さらに、骨を作る働きを促進する効果もあるため、両方の作用によって、骨の作り替えのバランスを調整する薬です。活性型ビタミンD3薬があります。破骨細胞の働きを抑えて骨を壊す作用を抑制します。また、小腸からのカルシウム吸収を促し、骨を作る働きも促進します。

副作用について

一部のビスホスホネートに吐き気や胃痛などの消化器症状が、SERMでは更年期障害の悪化がみられることがあります。一方、ビタミンD?薬は、重大な副作用は少ないのが特徴です。
また、骨を壊す働きを抑えるビスホスホネートやデノスマブの副作用として、ごくまれに抜歯などの歯科治療時に顎の骨が壊死(えし)するケースが報告されています。歯科治療を受ける際には、骨を壊す働きを抑える薬を使っていることを伝え、口腔の衛生管理にも努めてください。また、まれですが、非定型大腿骨骨折もみられます。

骨粗しょう症のQ&A

『Q&A骨粗しょう症』はこちら

この記事は以下の番組から作成しています

  • きょうの健康 放送
    こうして骨を守る 骨粗しょう症の予防と治療「薬の選択」