尻もちで骨折!?骨粗しょう症とは 骨密度と骨質、骨折しやすい部位

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骨粗しょう症

骨粗しょう症とは

骨粗しょう症は、骨がスカスカの状態になってもろくなる病気です。そのため、ちょっと尻もちをついたり、重いものを持ち上げたりしただけでも骨折してしまうことがあります。女性の骨粗しょう症患者は男性の3倍というデータがありますが、男性でも高齢になるほど患者数は増えます。
骨の強さには、骨の量の目安となる「骨密度」と「骨質」が関係しています。骨粗しょう症になると、骨密度が低下し、骨質が劣化します。

骨密度と骨質

骨密度は骨の代謝と関係があります。骨は、「破骨細胞」と「骨芽細胞」の作用によって常に新陳代謝を繰り返しています。破骨細胞は古い骨を吸収して窪みを作ります。すると、そこに骨芽細胞が集まり、窪みを埋めるように新しい骨を作ります。

骨密度と骨質

健康な成人の場合、破骨細胞と骨芽細胞がバランスよく働き、吸収される古い骨と、作られる新しい骨はほぼ等量なので、骨の量は一定に保たれます。

骨密度と骨質

しかし骨粗しょう症になると、破骨細胞と骨芽細胞の働きのバランスが崩れ、破骨細胞の働きが骨芽細胞の働きを上回ります。その結果、骨の量が減り、骨がスカスカの状態になります。

骨密度と骨質

また、「骨質」は、骨が丈夫かどうかを示す一つの指標(目安)です。骨を建物の構造にたとえると、コンクリートに相当するのが「カルシウム」などのミネラル類で、鉄筋に相当するのが「コラーゲン」などです。この鉄筋に相当するコラーゲンなどの強さを示すのが、骨質です。

建物を丈夫にするには、コンクリートと鉄筋がどちらもしっかりしている必要があります。つまり、丈夫な骨を作るためには、カルシウムだけでなく、コラーゲン同士がきちんとつながって、しっかりしていることが大切です。
骨の強さは、骨量の目安となる骨密度で70%、骨質で30%決まるといわれています。

骨がもろくなるのはどんな人?骨粗しょう症の原因早期発見で骨折を防ぐ!骨粗しょう症の検査

骨折が起こりやすい部位

骨折が起こりやすい部位

新潟県佐渡市での調査では、骨粗しょう症による骨折が起こりやすい部位は、多い順に、背骨(脊椎)、太ももの付け根(大腿骨(だいたいこつ))、手首(橈骨(とうこつ))、腕の付け根(上腕骨)です。

背骨の骨折は圧迫骨折がおこる

背骨の骨折は、上下の方向で押しつぶされたように骨折する、いわゆる「圧迫骨折」が起こります。骨折が治っても、つぶれた背骨は元の形には戻りません。そのため骨折が重なると、身長が低くなったり背中が丸くなったりします。ただし、背骨の骨折で痛みを自覚していた患者さんは全体の3分の1にすぎないという報告があり、気がつかないうちに骨折していることも少なくありません。若いころより身長が4cm以上低くなり、背中が丸くなっていれば、以前、背骨を骨折していた可能性が高いと考えられます。

また、背骨の骨折後には大腿骨を骨折することが多く、一回骨折を起こした方が続けて骨折を起こすことがよくあります。このように連続して起こる骨折を「骨折連鎖」といいます。
大腿骨を骨折すると手術が行われ、術後は歩いて生活することを目指しますが、筋力の低下によって寝たきりになることもあるため注意が必要です。

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この記事は以下の番組から作成しています

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