骨粗しょう症の治療 骨密度を増やす方法と効果的な運動のやり方

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骨の貯金をしましょう

加齢にともなう骨密度の変化

骨粗しょう症の主な原因は「加齢」「閉経」「その他」です。

加齢

骨密度(骨の量の目安)は、成長期に上昇し、男女とも20歳ごろにピークに達します(最大骨密度)。40歳代くらいまでは維持できますが、その後、徐々に骨密度は低下していきます。その結果、骨がもろくなるため、骨粗しょう症が起こりやすくなります。

閉経

閉経すると、骨密度を維持する働きがある「エストロゲン」という女性ホルモンの分泌が減少します。そのため、女性は加齢に加えて閉経に伴うエストロゲンの減少によって骨密度が急激に低下し、骨粗しょう症が起こりやすくなります。

その他

喫煙、多量飲酒、過度なダイエットなどは、骨の健康に悪影響を及ぼします。

若いころから骨に必要な運動や食事で骨密度を上げることが大切

一度低下した骨密度を大幅に回復させるのは難しいので、若いころから骨に必要な運動や食事で骨密度を上げる“骨の貯金”をしておくことが大切です。20歳ごろまでに骨の貯金をして最大骨密度を高くしておけば、加齢とともに骨密度が低下しても骨折しにくい骨を維持できます。

なお、何歳からでも運動や食事などの生活習慣を改善すれば、骨密度の低下のスピードを緩やかにして、骨粗しょう症のリスクを減らすことができます。骨密度が低下する中年期以降でも諦めないでください。

骨粗しょう症の治療

骨粗しょう症の治療

骨粗しょう症の治療の目的は、骨折を防ぐことです。そのためには、骨密度を増やして骨を丈夫にすることと、骨折の原因となる転倒をしない体づくりが大切です。
治療法としては、「運動」「食事の改善」「」の3つがありますが、治療の基本は、運動と食事の改善で、必要に応じて薬を使います。

運動で"衝撃"を与えて骨を強くする

骨や転倒予防によい運動

骨は、"衝撃"を与えることでつくられます。そのため、骨を丈夫にするために運動は欠かせません。骨には、運動などの負荷をかけると強くなり、逆に負荷をかけないと弱くなるという性質があるからです。

運動によって骨密度が増加することがわかっています。逆に、寝たきりの状態や、無重力で過ごす宇宙飛行士などは、骨密度が急激に減少しますので、運動には骨を守る大きな効果があるといえます。また、運動には転倒予防の効果があり、骨折予防に重要です。いろいろな運動を習慣的に続けるとよいでしょう。

骨を守るために効果的な運動は、衝撃や負荷の大きい運動です。例えば、ジャンプがその一つです。閉経前の女性では、1日50回のジャンプで上がったと報告されています。ほかにも、バレーボール、バスケットボール、縄跳び、ジョギングなどが挙げられます。しかし、高齢の方の場合は、腰やひざを痛める可能性があるので注意が必要です。高齢者にもおすすめの運動は、「背筋運動」、「片脚立ち」、「スクワット」です。 また、ウォーキングもお勧めです。
のんびり歩くのではなく、姿勢をまっすぐにして歩幅を広くし、リズミカルに歩くようにします。階段の上り下りや散歩の時間を増やすだけでも、骨にはよい効果があります。

一方で、運動によるけがや転倒・骨折にも注意が必要です。最近では、フィットネスクラブなどで骨折する高齢者が増えてきています。運動での骨折には、十分に注意するようにしましょう。

フィットネスクラブ等の事故

特に、高齢者の場合は、転倒・骨折をすると要支援や要介護の状態につながることがあります。強い衝撃が加わる激しい運動が勧められるのは、成長期の子どもや骨粗しょう症が起こる前から運動習慣のあった人です。
運動習慣のない高齢者や、足元がふらついたり、体のバランスを崩しやすくなっている人、最近1年間に転倒したことがある人は、注意が必要です。まずは安全な運動で足腰を鍛えることから始めましょう。筋肉がついてきたら、ほかの運動にも挑戦してください。

※無理なくできる範囲で行う。

骨粗しょう症対策の運動

※いすや机は安定しているものを使用し、平たんで滑らない場所に置いて行う。

片脚立ち

【回数の目安】
左右1分ずつ 1日3回/強度の高い運動ができない人 1日5~10回

脚の付け根の筋肉を鍛え、バランス力を高めることで転倒予防に有効です。

片脚立ちのやり方

①背すじを伸ばして立ち、まっすぐ前を見る。
②床につかない程度に右脚を上げ、1分間保ってから下ろす。

終わったら左脚も同様に行う。

しこ踏み

【回数の目安】
左右10回ずつ 1日3セット

横方向のバランス力、脚の筋肉を鍛えます。

しこ踏みの写真

①足を肩幅に開き、腰を落とす。

しこ踏みの流れ

②右脚をバランスが保てる高さまで上げ、地面をたたくように脚を落とす。

終わったら左脚も同様に行う。

かかと落とし

【回数の目安】
10回繰り返す。1日3セット

かかと落とし

①足を肩幅に開く。
②脚と背すじを伸ばして立ち、まっすぐ前を見る。

かかと落としのやり方

③つま先立ちをし、かかとを勢いよく下ろす。

※ひざや股関節に痛みがある場合、勢いを弱くするか、ひざを少し曲げる。

余裕があれば、片脚立ち かかと落としを行います。

【回数の目安】
片脚ずつ10回繰り返す。1日3セット

片脚立ちでかかと落とし

壁押し&かかと落とし

【回数の目安】
10回繰り返す。1日3セット

手首、肩、太ももの付け根、腰を鍛えます。

足を肩幅に開く

①足を肩幅に開く。

壁押し&かかと落とし

②脚と背すじを伸ばして立ち、まっすぐ前を見る。
③かかとを上げながら、手のひらで壁を勢いよくたたくように押す。(ひじをまっすぐに伸ばす必要はない)

壁押し&かかと落とし

※手首、ひじ、肩に痛みがある場合は壁を押す力を軽くする。

詳しい内容は、きょうの健康テキスト 2021年7月 号に掲載されています。

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