足裏を鍛えて転倒・骨折を予防 トレーニング、タオルを使った筋トレ方法

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転倒・骨折を予防するためには、骨そのものを丈夫にすることも大事ですが、よろめいたときに踏みとどまる力やバランス力を鍛えることも重要です。そのために大切なのが“足の裏”を鍛えること。足裏の感覚を研ぎ澄ますトレーニングや足の指の筋トレを紹介します!

足裏の感覚が衰えて転倒!?

足裏のイラスト

転倒を防ぐには、「足裏の感覚機能の低下」が1つの原因になることが最近の研究からわかってきました。たとえば、滑ってバランスが崩れそうなとき、「滑る」または「滑りそう」という感覚情報が、足裏から脳へ伝えられ、足でふんばるための指令が脳から足の筋肉に送られます。ところが、加齢により足裏の感覚機能も低下していきます。するとバランスを維持しようという反応が遅れ、転倒してしまうのです。

高齢になると足裏の感覚機能が衰える

二点識別覚検査

検査用の器具
検査の様子

足裏の感覚は、「二点識別覚検査」という検査で調べることができます。目をつぶり、足に当てられたピンが1本か2本かを答えてもらいます。足裏の感覚が衰えてくるとピンの2点間の幅が狭い場合には、2本を1本と感じたり、全く感じなかったりします。北海道科学大学の田中敏明さんらの調査では、20代の若者はほぼ100%正解した一方で、高齢者では正確に感じられたのは全体のおよそ半分でした。

二点識別覚検査の様子

足裏を鍛えてストップ転倒・骨折!

しかし、高齢になってもトレーニングを行うことで、足裏の感覚機能やバランス能力は鍛えることができます。
いくつかのトレーニングを紹介しますが、開始前後には足首を回したり、ひざを屈伸したりして、筋肉や関節のストレッチをしましょう。また、転倒には気をつけてください。

足裏の感覚を研ぎ澄ますトレーニング

目隠し写真
物当て実演

目隠しをしてから、家族や友人に足元に何か「物」を置いてもらいます。はだしで物に触れ、「ざらざら」「でこぼこ」「さらさら」など感触を確かめたり、物の名前を言い当てたりします。そうすることで、感覚機能の改善に効果が見込ます。家族や友人とゲーム感覚で行えば、楽しく足裏が鍛えられます!

タオルで足指筋トレ

足指はふだんあまり意識することのない筋肉かもしれませんが、鍛えることで、よろけたときに足指をつかってふんばったりすることができるようになり、足の指の筋肉が鍛えられ転倒予防につながります。

①タオル持ち上げ

タオルを足の指で持ち上げる

  • はだしになっていすに座る
  • 足元にタオルを広げて置く
  • 片方の足指を使ってタオルをつまんで軽く持ち上げる
  • 反対側の足も同様に行う
  • 左右各5〜10回無理のない範囲で行う

②タオルたぐり寄せ

足の指でタオルをたぐり寄せる

  • はだしになっていすに座り、足元にタオルを広げて置く
  • 片方の足指を使ってタオルをたぐり寄せる
  • 左右各5〜10回無理のない範囲で行う
  • 片方ずつ行うのが難しい場合は、両足を一緒に行う

座布団でバランストレーニング

バランス力に重要な足の指・足裏感覚と、足や下半身全体、それに体幹の筋力を同時に養うことができるトレーニング法です。泥道や雪道、電車の中など、不安定な場所で姿勢を維持するための能力があがります。

【注意】
このトレーニングは転倒の危険があるので、机やいす、壁のそばで行うか、ほかの人に補助をお願いしてください。難しい場合は、座布団なしの床で実施するか、または、椅子に座って行ってください。

座布でバランストレーニング

  • 柔らかいクッション(座布団)の上に、両足を肩幅に広げて立つ
  • 腕は胸の前で交差する(転倒が不安な方は手をすぐに机やいすをつかめる位置に)
  • ひざを伸ばした状態で、体全体をできる範囲で「前」に倒し、10秒間保つ
    (高齢の場合は、3~10秒ほど)
  • 元の位置に戻ってから、後ろ、右、左にも体を傾ける
  • ポイント!腰やひざはできるだけ曲げない 無理はしない

ご紹介したトレーニングは、毎日ではなくでもいいので、できる範囲で週に2〜3回以上行えば、1か月ほどで効果が期待できるとされています。

詳しい内容は、きょうの健康テキスト 2023年11月 号に掲載されています。

きょうの健康テキスト
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    骨の“新健康術”「骨折を防ぐ!ポイントは“足裏”」