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メディアの動き 2023年06月20日 (火)

【メディアの動き】米でもAI規制を連邦議会が検討

 ChatGPTやDall・Eなど文章や画像,音声,コンピュータープログラムなどを作ることができる生成AI(人工知能)の機能向上と利用が急速に進む中,アメリカでも連邦議会がAIの開発や運用に関わる法規制の検討を始めた。

 議会上院司法委員会の小委員会は5月16日,AIの規制検討に向けた公聴会を開催。

 リチャード・ブルーメンサル委員長は,ソーシャルメディアの規制で機を逸した反省をふまえ,AIの脅威やリスクが現実のものとなる前に規制を導入する必要があると述べた。

 ChatGPTを開発したOpenAIのサム・アルトマンCEOは,AIの開発や公開を一定の能力を持つ事業者に限定する国際的な許認可制度の制定などを呼びかけ,協力を申し出た。

 ニューヨーク大学名誉教授ゲアリー・マーカス氏はルール作りを開発するIT企業だけに任せてはいけないと述べ,独立した立場の科学者の協力を得て,まずはAIツールなどが公開される前に安全性を検証するよう提言した。

 議会下院の多数派,民主党の院内総務チャック・シューマー氏も同月18日,超党派による法案作りを急ぐと表明した。

 16日の公聴会は開発者自らが規制を促したことで話題になったが,大規模言語モデルなど生成AIの△学習データの透明性の確保や, △著作権侵害や情報ねつ造,差別助長の予防と損害賠償,△開発や運用に伴う環境負荷の軽減,といった喫緊の課題への具体的な対応の検証には至らなかった。

 政府と議会には生成AIに関する知見が十分になく,アメリカが世界的な競争に遅れをとらないために開発を促したい意向もあり,有害な影響を防ぐ法の整備は容易ではないとみられている。