2016年11月27日 (日)

みかんの里の晴れ舞台 ~徳島市 八多町~

tokushima-main.jpg四国・徳島市の南西部にある八多町(はたちょう)は、11月になると町全体が黄色いミカンで彩られます。ミカンの里の農家たちが大切にしてきたのが、人形浄瑠璃を上演するための屋外舞台「犬飼農村舞台」。明治6年から五穀豊じょうを祈るために、舞台のにぎわいを奉納してきました。舞台を飾るふすま絵は132枚。風景を次々と変える「襖(ふすま)からくり」の技法は、地元の若い世代へ脈々と受け継がれています。ミカンの里で守り継がれる伝統の舞台を訪ねます。


今回の放送内容

tokushima1.jpg徳島市南西端に位置する八多町。270世帯中およそ6割がみかんを作り、暮らしています。11月には斜面いっぱいに輝く黄色い実りが、里を訪れる人を出迎えます。山肌を開墾して作られた畑。太陽の光を1日中たっぷりと浴びることができ、水はけがよく実に余分な水分がいかないため、甘みが凝縮されます。八多町のみかんは関西地方や東海地方で高値で取引され、明治時代から里の暮らしを支えてきました。


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みかんの里の人たちが大切に受け継いできたのが、人形浄瑠璃のための「犬飼農村舞台」です。明治時代に作られたこの舞台には伝統の数々が詰まっています。地下には、人形を扱う人たちがゆったり過ごせるようにと、里の人たちが自ら掘って造った楽屋が。さらには、照明のない舞台を華やかに見せるため、色彩豊かに描かれた舞台背景のふすま絵も。その数、132枚。「几帳(きちょう)にタカ」「八つ橋にぼたん」など縁起ものの絵が、舞台を華やかに演出します。


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いつしかふすま絵だけを多彩な方法で見せていく「襖からくり」の演目が、里の人たちによって演じられるようになりました。その技術は里の年長者から次の世代へと受け継がれています。襖からくりの操作を任された、河野一生(かずき)さん(49歳)。大事なふすま絵を使って稽古が出来るのは1年に1度、本番の前だけ。里でみかん農家を継ぐ数少ない若手として、忙しい収穫の合間をぬって“晴れ舞台”を守ります。


旅人・山本哲也アナウンサーより

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「青の空、黄のみかんに、葉のみどり」秋の3色に包まれた徳島八多町。適度に酸味があって甘味があとからじわーっと来るみかんの里。いやあ何年ぶりでしょうか、神社の境内にある舞台を、地べたにござ敷いて見入ったのは。人形浄瑠璃の演目は、子どもの時に覚えのある『傾城(けいせい)阿波の鳴門』。「かかさまの名は…」のあれです。しかし、この八多町の自慢はなんと言っても「襖(ふすま)からくり」。132枚もの色鮮やかなふすま絵が次から次に織りなす合わせ絵の見事さ。40分の間にこれでもかこれでもかの演出、そしてスピード。みんな人力で操ります。親から子へ、子から孫へ、なんとか伝えつなごうとみかんの里の人たちがひとつになり、見る者をくぎ付けにしてしまう舞台。11月の寒空のもと繰り広げられる「襖からくり」に体の冷えも忘れてしまいました。ぜひこの場所で、自分の目で見てほしい、途絶えてほしくない伝統芸能に出会いました。


八多町へのアクセス

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〈電車〉
JR各線「徳島」駅→徳島市営バス五滝行きで終点下車(約35分)

〈車〉
徳島自動車道「徳島」ICから約40分


問い合わせ先

▼「犬飼農村舞台」など八多町の観光全般について
徳島市教育委員会 社会教育課 088-621-5419

▼八多町のみかんについて
JA徳島市 八多選果場 088-645-0211

投稿時間:08:24


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