2023年01月27日 (金)【みえDE川柳】 お題:跳ねる

天 筆先の跳ねが決意の年賀状/ごん太さん

丹川修先生  「今年こそ」と決意を語った年賀状の筆の跳ねがそのことをはっきりと物語っている。
パソコンで作成する賀状が多いなか、このような肉筆のものには温もりがこもっていると同時に、差出人の新しい年に対する意気込みまで感じとることができる。
このような日常の何でもないことに目を付けたところが素晴らしい。
今年最初の投句にあたり、実にタイムリーな作品である。

地 運命を変えた一球イレギュラー/録画は家康天さん

丹川修先生  この作品は、今回の応募作のなかで、お題の「跳ねる」を読み込まない手法による数少ない句である。
一読して、ボールがグラウンドの起伏のせいで思わぬ方向に跳ねてしまって慌てた様子が、はっきりと目に浮かんでくる。
必ずしも野球だけではなく実社会にあてはめて鑑賞することもできる。
「運命を変えた」のややオーバーと思えるような表現が、逆に効果的である。

人 結果出し野暮な批判を跳ね返す/ゆうさん

丹川修先生  厳しい批判を浴びせられても、くじけることなく素晴らしい結果を出し、その批判を見事に跳ね返したのであろう。
鑑賞者のこちらまで胸がスカッとする。
「あっぱれ、あっぱれ」と言いたい。
スポーツであれ、職場であれ、勉学でもこうあって欲しい。年始にふさわしく勇気をいただいた句である。

 

<入選>

あの頃の日記に君の名が跳ねる/汐海 岬さん
跳ねるにはちょっとマスクが邪魔になる/彦翁さん
不器用で好奇心だけ跳ねている/水谷裕子さん
物価だけ大いに跳ねるうさぎ年/羽馬愚朗さん
御神籤の凶から跳ねて出る覚悟/八木五十八さん
お隣の芝生で跳ねてみたい犬/ラビットさん
気持ちだけ跳ねて上がっていない足/戴 けいこさん
無記名のコラムに筆がよく跳ねる/あそかさん
存分に跳ね回ったという寝顔/ジャック天野さん
一言が言えず終わった跳ねた髪/宮のふみさん

 

丹川修先生 丹川修先生

 卯年を迎えるにあたり、うさぎのように跳ねることができる年になればという思いで「跳ねる」のお題をお出ししましたところ、多数の楽しい句が寄せられました。
 微笑ましい気持ちで選をさせていただきました。「飛ぶ、跳ぶ、弾む」などを用いた句も寄せられるのではと思っていましたが、皆さまは、お題に忠実に作句をしていただきました。
 また、お題を読み込まずに、それらの意味を変えずに暗示(反映)させるような手法で作句されたもの(「地」の句のような)は、ほとんどありませんでした。この場合、いかに出された題に正確に呼応させるかが川柳作りの大切な要素になります。是非、挑戦していただければと思います。
 たくさんの投句をいただきありがとうございました。

投稿者:NHK津放送局 | 投稿時間:18:50


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