#27 子どもたちも早寝早起き
世論調査部(視聴者調査)関根智江
「朝活」という言葉が流行してから、早起きがさわやかでポジティブなイメージに変わってきたように思いませんか?
文研が5年ごとに実施している「国民生活時間調査」では、早起きの人が増える傾向は2005年からみられていましたが、最新の2015年調査では、早起きに加えて、夜に早く寝る人も増えていることがわかりました。睡眠のほか、仕事、学業、家事、テレビ視聴など、日本人の生活の変化を分析した調査結果を公表していますので、ぜひご活用ください。
● 『放送研究と調査』5月号「日本人の生活時間・2015」
● 「国民生活時間調査」詳細データ(抜粋)
今回のブログでは、初めて報告するデータも含め「小学生・中学生の生活の変化」をご紹介します。
■ 小学生・中学生も早起き、そして朝活
平日の起床在宅率(家にいて起きている人の割合)をみると、小学生*・中学生ともに朝6~7時の起床在宅率が増加する傾向がみられます。
6:00~7:00の起床在宅率は、小学生・中学生ともこの20年で増加する一方で、7:30~8:00の起床在宅率は、小学生・中学生とも減少しています。つまり、平日の朝、子どもたちは早起きし、そして早く家を出るようになっています。
それに合わせて、7:30~8:30に授業や学内の活動をしている人の割合は増加しており、朝の活動のスタートが早まっています。
*調査対象の年齢は10歳以上なので、小学生は学年では4~6年生です
■ 夜は早く寝るため、睡眠時間は変わらない
子どもたちは、朝早く起きるようになった分、夜は早く寝るようになっています。
小学生では21時台、中学生では22・23時台に寝ている人(睡眠をとる人の割合)が増えています。
2015年調査では、国民全体で長期的に続いてきた睡眠時間の減少傾向が止まったことが、大きなトピックスの一つですが、子どもたちに注目してみると、小学生の平均睡眠時間は8時間40分ほど、中学生は7時間40分ほどと、この20年では大きな変化はみられません。
■ 学業時間は脱ゆとり
平日の小学生・中学生の生活で大きな比重を占めている学業。調査では、授業・学内の活動と学校外の学習を合わせて学業としています。学業時間は小学生では’05年から’10年、中学生では’00年から’10年にかけて増加しています。’90年代にはゆとりの確保がうたわれ、学校週5日制の導入が進みましたが、2000年後半には一転、学力向上のために年間総授業時数が増えるなどの動きがありました。調査データにも、このような教育制度の変化が反映されています。
■自由時間、特にテレビ視聴時間が減少
学業時間が増加する一方で、子どもたちがくつろいだり楽しんだり、自由に過ごせる時間が短くなっています。調査では、自分の自由裁量で行うことのできる行動を自由行動としていますが、小学生では’05年から’10年、中学生では'10年から'15年に、自由行動の時間が減少しています。
中でも、テレビ視聴時間は’05年から減少しています。
実は私自身も二児の母なのですが、このような傾向は、我が家の子どもたちにもあてはまるような気がします。
“親の心子知らず”ということわざがありますが、調査データからは「早寝早起きし、勉強する時間を増やしている」という、まるで親の心をくみ取るような子どもたちの生活の変化がみられました。とはいえ、この変化の背景には、学業に加えて、親の生活や仕事など社会全体の変化が複雑に影響しているのだと思われます。