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メディアの動き 2023年12月18日 (月)

【メディアの動き】韓国KBS,新社長にパク・ミン氏

 韓国のユン・ソンニョル(尹錫悦)大統領は11月12日,公共放送KBSの新しい社長に日刊紙,文化日報の論説委員を務めたパク・ミン(朴敏)氏を任命した。記者出身で,社会部長や政治部長,編集局長を歴任し,ユン大統領に近いとされる。

 KBSの理事会は9月,ムン・ジェイン(文在寅)前大統領によって任命されたキム・ウィチョル(金儀喆)前社長を解任し,パク氏を含む3人に候補を絞っていたが,その後,同氏以外の2人が辞退していた。キム前社長の選任時に,KBS理事会が絞った候補のうちキム氏以外が辞退しており,同じ展開をたどった。

 11月7日に開かれた国会での人事聴聞会では,パク氏が新聞社に勤務していた当時,日系企業から諮問の名目で受け取った金銭について,野党側が,公務員やメディア関係者が一定額以上の金品を受け取るのを禁じる法律に違反しているのではと追及。その結果,野党の反対で人事聴聞報告書は採択されなかった。ただし報告書がないままでも任命できることになっており,ユン大統領によってパク氏が任命された。

 13日の就任式でパク新社長は,「公共放送としてのアイデンティティーを再確立し,KBSが国民からの支持と財政面での安定を取り戻せるよう,取り組んでいく」との考えを表明した。
一方で,与党に批判的なラジオ番組の司会者を降板させたほか,夜の報道番組『9時ニュース』のキャスターを交代させるなどした。これについてKBSは,視聴者の信頼を回復するためだと説明しているが,労働組合は,放送法で保障された「放送編成の自由と独立の侵害だ」と反発している。