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メディアの動き 2021年05月26日 (水)

#323 ウェブサイト「NHK for School」の25年

メディア研究部(番組研究) 宇治橋祐之


 NHKの学校教育向けサービスのポータルサイト「NHK for School」は、2021年に25年の節目を迎えました。

 前身の「学校放送オンライン」が開設された1996年は、Windows95が発売された次の年。インターネットを多くの人が利用するようになり、四半世紀の歴史を重ねるうちにウェブサイトも変化をしています。

 『放送研究と調査』4月号では、利用者のニーズや技術の動向に合わせてどのようにウェブサイトを制作していったかを、「「学校放送オンライン」「NHKデジタル教材」から「NHK for School」へ~NHK学校放送番組 ネット展開の25 年~」としてまとめました。

 「学校放送オンライン」が公開された当初は、平日の午前中に放送されている学校放送番組の放送予定日時や放送内容などの、番組に関連する情報だけでした。
 2001年からは一部の番組で、ストリーミングでの番組配信、番組の内容に関わる1~2分の動画クリップ、子ども向けの双方向教材、教師向けの利用案などを組み合わせた「NHKデジタル教材」として公開されます。

 ウェブサイトが大きくリニューアルするのは2011年。すべての学校放送番組を「NHKデジタル教材」の形式で揃え、ウェブサイト「NHK for School」という名称で公開します。トップページは番組名が一覧になっていて、学年と教科で選択する形式です。
 NHK for Schoolのウェブサイトは家庭でも利用されていましたが、学校の授業で利用されることが多かったので、授業と対応する番組にたどり着きやすいように設計されたインターフェースでした。

画像1 NHK for School(2011年)
210524-1.png
 では現在のトップページはどうなっているでしょうか。2020年8月のリニューアルで、検索窓を中央に配置したシンプルなデザインとなりました。「児童生徒向けの1人1台端末と高速大容量の通信ネットワークを一体的に整備」するGIGAスクール構想とコロナ禍もあり、学校でも家庭でも子どもたちがパソコンやタブレット端末、スマートフォンなどで利用しやすいように考えて行われたリニューアルです。

画像2  NHK for School(2020年)
210524-2.png

 論考を執筆して改めて気づいたのは、ウェブサイトはリニューアルされたりサービスが終了したりするとともに消えてしまうことでした。また、ウェブサイトで動画やゲームなどを表示する規格は、そのアプリケーションのサービスが終了すると表示ができなくなってしまいます。デジタル化されていれば永久に残るということではないのです。

 放送番組はNHKアーカイブスや放送ライブラリーで一定程度保存されていますが、ウェブサイトについては、非営利団体「インターネットアーカイブ(Internet Archive)」が保存したウェブサイトを閲覧できる「Wayback Machine」1)というサービスはあるものの、全てのウェブサイトのページが閲覧できるわけではありません。
 放送番組の研究と合わせて、番組ウェブサイトも意識して保存して、研究の対象としていくことが大事だと感じています。


1)http://web.archive.org/