うまい日本酒の秘密は“氷”にあり
- 2024年02月28日
熊本の豊かな食材や、郷土料理をシリーズで紹介する「熊本 食の映像詩」
津奈木町の日本酒の蔵元では、暖かい南国でもうまい酒をつくるために「氷」を使います。一体どんな造り方なのでしょうか?
南九州にある 老舗の酒蔵
熊本県津奈木町にある亀萬酒造は、熊本県内では一番南にある蔵元です。南九州は焼酎造りがさかんですが、こちらの蔵元では、100年以上日本酒を作り続けています。
冬は仕込みの最盛期
新酒の仕込みは、一年で一番寒い1月上旬から始まります。もうもうと米を蒸す蒸気が立ちこめる酒蔵では、職人たちが蒸し上がった米を足早に運び、台の上に広げて冷ます作業を行っていました。
蒸し米は、「こうじ室(むろ)」という部屋に移されるとこうじ菌がかけられ、部屋の温度を30度ほどにして置くことで「米こうじ」をつくります。
出来上がった米こうじに、再び蒸し米と水、さらに酵母を混ぜて「もろみ」をつくり、タンクの中に入れて発酵させていきます。この時、気温が高いともろみの発酵が早く進んでしまい、甘口の酒になってしまいます。
うまい酒の秘密は「氷」
そこで、欠かせないのが「氷」です。冬でも気温が下がりにくい温暖な津奈木町での酒造りの工夫、それはもろみに入れる水の代わりに、氷を入れることです。氷を入れるともろみの温度が下がり、低温でじっくりと発酵させることがことができます。すると、辛口ながらも芳じゅんな味わいの酒に仕上がるといいます。もろみの中に投入する氷の量は、その日の気温によって左右されます。気温13度と暖かだったこの日(2月1日)は、いつもの3倍の100キロの氷が入れられました。
温暖化で氷も増加
この蔵元では、氷を使った酒造りを50年以上続けていますが、最近は温暖化もあり、投入する氷の量も増えてきているということです。
とにかく、南国でもおいしいお酒をつくりたいと思いでやっています。この冬は、暖かい日が多いため、入れる氷も多くなりましたが、その分すっきりとして、さわやかなお酒に仕上げることができました。
氷を使った酒造りは、3月終わりまで続きます。
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