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NHK熊本WEB特集 クマガジン

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伝来の地でいちじくを守る

天草市河浦町
  • 2023年09月29日

熊本の豊かな食材や郷土料理を映像でつづる「熊本 食の映像詩」

世界遺産の集落がある天草市は「南蛮柿」と呼ばれる「いちじく」が伝来したとされます。

世界遺産の集落といちじく畑

天草市河浦町の﨑津は、世界文化遺産で「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」に登録された集落です。この集落のそばにある、広さ13アールの宰川壽之さん(81)のいちじく畑には、およそ130本のいちじくの木が植えられていて、8月上旬から9月いっぱいにかけて、収穫の最盛期を迎えていました。高さ2メートルほどの木には、紫色に色付いたいちじくがたくさん実り、宰川さんは、ひとつひとつ丁寧に収穫していました。

﨑津集落そばのいちじく畑
色づき、実が下がると収穫のサイン

"南蛮柿"いちじく伝来の地

16世紀後半に天正遣欧少年使節がローマ教皇のもとに派遣された際に、随行したメスキータ神父が、ポルトガルから天草市河浦町にいちじくの苗をもたらしたと伝えられています。地元では、今でもいちじくのことを「南蛮柿」と呼ぶ人もいます。

メスキータ神父(上段中央)と天正遣欧使節
(京都大学附属図書館所蔵)

伝来の地でいちじくを根づかせたい

いちじく伝来の地と言われる天草市河浦町ですが、以前は、ほとんどいちじくの栽培は行われていませんでした。伝来の地でいちじくを復活させたいと、宰川さんは13年前から、一人でいちじくの栽培を始めました。

収穫する宰川壽之さん(81)

ここが発祥の地という歴史、文化を知って、いちじくを守っていかないと思い栽培を始めました。

独学で栽培を身につける

宰川さんは、もともと大工をしていて、本格的な農業経験は全くありませんでした。今でこそたくさんのいちじくが収穫できるようになりましたが、道のりは苦労の連続で、収穫前に傷が入ったり、大雨でカビが生えて収穫できなかったりしたこともありました。そうしたなか宰川さんは、県内外のいちじく農家を訪ねたり、本を参考にしたりして、栽培方法をこつこつと学んできました。

いちじく栽培の独学ノートを見る宰川さん

見るなり聞くなり、よそで見せてもらって教えてもらったりして、いちじく栽培を1人で学んできました。

オススメの食べ方は?

宰川さんの、いちじくのオススメの食べ方は「コンポート」です。皮をむいたいちじくを水に入れ、砂糖を加えて10分くらい煮込みます。煮込んだあとは一晩冷蔵庫で寝かせれば完成です。食べるといちじくのほのかな甘い香りが、口の中いっぱいに広がります。

味付けは妻マキエさんにお任せ
いちじくのコンポート
宰川壽之さん

きれいな実がたくさん収穫できた時が一番うれしいです。いちじくがここまで成長して、我が子といっしょですよ。

地元では「南蛮柿フェア」も開催

宰川さんのいちじくは、青果市場や地元の菓子店に出荷されています。天草では、県内外の人に天草のいちじくを知ってもらおうと「天草南蛮柿フェア」と銘打った催しが、毎年8月から9月いっぱいにかけて開かれるようになりました。フェアでは、上天草市や天草市の飲食店や菓子店などで、旬のいちじくをお菓子や料理などで味わうことができます。いちじくを丸ごと使ったパフェやケーキだけでなく、ピザやパンなどの料理にも調理され、いちじくの味を堪能できます。

動画はこちら

  • 松原晶

     NHK熊本放送局

    松原晶

    平成7年入局 
    心に響く映像を目指しています

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