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NHK熊本WEB特集 クマガジン

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「阿蘇たかな」の収穫

熊本 食の映像詩
  • 2023年03月29日
摘み取られた高菜 左 新漬け 右 古漬け

熊本の豊かな食材や、郷土料理をシリーズで紹介する「熊本 食の映像詩」

「阿蘇たかな」

熊本県の阿蘇地方は、早春になると高菜の収穫と漬け込み作業の最盛期を迎えます。

野焼きのあとは高菜の収穫

阿蘇地方は高菜の栽培が盛んな所です。これは、火山灰の土壌が高菜の生育に適していること、冬の寒さに耐えながら、ゆっくりと成長することで、高菜特有の辛みを増すことが理由といわれます。3月中旬、阿蘇五岳を望む高菜畑では、収穫作業が始まっていました。大倉孝幸さん勝子さん夫婦が営む高菜畑です。勝子さんは「阿蘇では野焼きが終わると高菜の季節が始まるんですよ」と話してくれました。

阿蘇五岳と高菜の畑

収穫は「たかな折り」

高菜の収穫は、葉の高さが地面から五十センチほどの高さに育った「とう立ち」と呼ばれる頃が、収穫の目安になります。作業は手作業で行われ、茎を一本ずつ手にとり、固いところと柔らかいところの境目を手で折って葉を摘み取っていきます。この作業は「たかな折り」と呼ばれています。摘み取りが1週間も遅れると葉が固くなってしまうので、一気に収穫をしていかなければなりません。

手で茎を折って収穫する「たかな折り」

いまが旬の味「新漬け」

収穫された高菜は、新鮮なその日のうちに漬物にされます。妻の勝子さんは、さっそく塩で高菜をもんでなじませ、たるの中に詰めていきました。たるには重しをのせ、3日ほど漬け込むと、緑色の鮮やかな高菜の「新漬け」が出来上がります。新漬けはこの時期にしか食べられない旬の味で、シャキシャキとして、さわやかな辛みが特徴です。妻の勝子さんは、「おばあちゃんがやっていたやり方と、近所の人たちのやり方を取り入れてつくっています」と話してくれました。夫の孝行さんは、「高菜は、阿蘇でなくてはならないもので これからも体が続くかぎりずっと育てていきたいです」と話してくれました。

収穫されたらその場で塩もみ
緑鮮やかな「新漬け」は3日ほど漬けると完成
大倉孝幸さん 勝子さん夫婦

おなじみの高菜漬け「古漬け」

この時期収穫された多くの高菜は、地元の加工場に運ばれ「古漬け」と呼ばれる漬物に加工されます。古漬けは、深さ3メートルにもなる貯蔵槽の中に大量の高菜を詰め、3か月以上漬け込みます。すると乳酸発酵が進み、おなじみのべっ甲色で独特の香りがする高菜漬けとなります。阿蘇市黒川にある加工場では、一日だけで6トンの高菜が運び込まれ、漬け込み作業に追われていました。加工場の代表の江藤※俊一さんは、「みなさんは桜が咲くと春が来たと感じますが、うちは高菜折りが始まると春が来るんです」と話してくれました。 ※藤は草冠が離れる

加工場に運ばれた高菜
加工場代表 江藤※俊一さん
※藤は草冠が離れる

おいしい高菜の食べ方は?

オススメの食べ方を地元の人に聞きました。新漬けも古漬けもそのままで食べてもおいしいのですが、ごまやかつお節であえたり、マヨネーズをかけると味がマイルドになっておいしくなるそうです。特に豚肉とあえて炒めれば、おかずの一品にもなるのでオススメだということです。

動画はこちら

  • 福山孝幸

    熊本局・カメラマン

    福山孝幸

    カメラマン歴25年
    季節の話題が好き

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