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筆で釣る! 干潟の珍味「マジャク」

熊本 食の映像詩
  • 2023年05月25日
天ぷらが特に美味

熊本の豊かな食材や、郷土料理をシリーズで紹介する「熊本 食の映像詩」

荒尾市の干潟では夏になると「マジャク漁」が始まります。筆を使うユニークな漁です。

荒尾干潟の「マジャク」とは?

荒尾市沿岸に広がる荒尾干潟は、潮が引くと南北9キロ、東西幅が3キロにもなる広大な干潟が現れます。この干潟に住んでいるのが、体長10センチほどの「マジャク」です。正式名称は「アナジャコ」で、シャコに似ていますが、別種のヤドカリの仲間になります。マジャク漁が始まったばかりの5月中旬、マジャク漁師の土井和子さんに同行しました。

マジャク(正式名アナジャコ)
岸から400メートルほど沖まで歩く

干潟に「筆」を立てるユニークな漁

岸から沖に向けて400メートルほど歩くと、マジャクがいるポイントに到着です。さっそく土井さんが鍬を使って干潟の表面を削り取ると、穴がいくつも現れました。マジャクは、この穴の中に潜んでいます。巣穴の深さはなんと1~2メートルもあるので、掘り進んでもマジャクに逃げられてしまいます。そこで使うのが習字で使う「筆」です。土井さんは巣穴のひとつひとつに筆を入れていきます。そして筆を上下に動かしたり、回したりします。筆の柄の先には、細長いテープも着けられ、風を受けるとユラユラと揺れる仕掛けにもなっています。しばらくすると、筆がニョキニョキと持ち上がってきました。

マジャクの巣穴に筆を入れる

 

すると筆が勝手に持ち上がってくる

タイミングが肝心 マジャクとの駆け引き

この時、巣穴では筆を敵と思ったマジャクが、筆を追い出そうと押し上げているのです。土井さんはタイミングを見計らって、持ち上がってきた筆を引き上げます。すると、ピチピチとはねるマジャクが姿を現しました。この引き上げるさいの駆け引きが難しいといいます。早すぎると筆先をはさんだマジャクをつかめず、遅くてもマジャクは巣穴の奥へ逃げ込んでしまうからです。マジャクの習性を利用したユニークな伝統の漁。シーズン始めとあって少ないながらも、土井さんは2時間で50匹のマジャクをつかまえていました。

筆とはさみをつかんだら
マジャクを一気に引き上げる

絶品!マジャクの天ぷら

マジャクの食べ方のおすすめは、なんと言っても天ぷらです。はさみを取り除き、きれいに水洗いをして、薄く衣をつけたら、まるごと油で揚げます。マジャクは、殻が柔らかいため、天ぷらにすると頭や内蔵も一緒に食べることができます。頭には濃厚な味噌、身にはうまみの詰まった卵もあり、殻の香ばしさとともに複雑な味わいが楽しめます。酒のさかなとしては絶品です。

殻ごと全部食べられる

土井和子さん「マジャク独特の味が詰まっている頭と卵がおすすめです。エビともカニとも違う味わいを楽しんで欲しいですね。」

郷土限定の味 マジャク

マジャクは、天ぷらのほかにも塩ゆでや酒蒸しにしてもおいしいということです。荒尾干潟のマジャク漁は、6月から最盛期を迎え、9月頃まで行われます。マジャクは鮮度が落ちやすく、熊本以外では、ほとんど流通しない食材です。荒尾市では市内でマジャク料理が味わえるグルメマップも作成しているので、訪れて食べてみてはいかがでしょうか。

動画はこちら

  • 福山孝幸

    熊本局・カメラマン

    福山孝幸

    カメラマン歴25年
    地域の話題が好き

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