【特集】背中が痛む原因とは?考えられる病気一覧、症状セルフチェック・治療法

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【特集】背中が痛む原因とは?考えられる病気一覧、症状セルフチェック・治療法

背中に痛みが出る場合がある主な病気をまとめました。痛む場所によって、原因がわかる場合もあります。激しい痛みが続く場合、狭心症・大動脈解離など危険な病気の可能性もあるので、放っておかずに早めに病院を受診することが大切です。

背中が痛む原因① すい臓の病気

慢性すい炎

慢性すい炎

慢性すい炎は、すい液がすい臓を溶かす自己消化が長い時間をかけて起こる病気です。慢性すい炎を引き起こす主な原因はアルコールで、飲酒量が増えれば増えるほど発症しやすくなります。慢性すい炎になると、完治は望めず、すい臓がんのリスクも高めてしまいます。

慢性すい炎 進行と症状

慢性すい炎の初期の症状は、上腹部や背中に痛みを感じたり、吐き気をもよおしたります。
進行して5年~10年経つとその痛みは軽減しますが、下痢や食べた物の脂肪分が便に混じる脂肪便、体重の減少といった症状が現れます。また、すい臓からのインスリン分泌も低下するため、糖尿病も引き起こしやすくなります。

慢性すい炎になると完治は望めませんが、早期慢性すい炎の時点で治療を行えば、進行を食い止めることも可能になります。早期発見するために超音波内視鏡検査の受診をおすすめします。
慢性すい炎は、すい臓がんの原因にもなり、リスクが12倍に高まるといわれています。すい臓がんの検査を定期的に受けることも大切です。また、なるべく早い段階から慢性すい炎の治療を行えば、すい臓がんのリスクを下げることも期待できます。

慢性すい炎の症状や治療法など詳しくはこちら

すい臓がん

すい臓がんは、がんのなかでも発見や治療が難しいとされています。
すい臓が腹部の奥まった場所にあり通常の検査ではがんが発見しにくいためです。
自覚症状として腹痛や背中の痛み、黄疸、体重減少、食欲低下などがありますが、早期には自覚症状が現れないため、自覚症状が現れて診断されたときにかなり進行しています。

しかし早期発見さえできれば生存率は高まります。特に、ごく小さい1cm以下の段階で発見して手術すれば、5年生存率は80%と報告されています。

すい臓がんを早期発見するには、まず、血縁者にすい臓がんの人がいないかや、肥満や喫煙、大量飲酒といった「危険因子を知る」ことが重要です。さらに、「1cm以下で見つける」「間接所見(がんが疑われる病変)を見逃さない」「検査を適切に組み合わせる」という4つのポイントを抑えることが大切です。

「すい臓がんの早期発見のポイントや治療手術」について詳しくはこちら

急性すい炎

急性すい炎とは

急性すい炎は、突然起こるすい臓の炎症の1つです。すい臓がむくんで腫れるほか、炎症が強い場合にはすい臓の血流が悪くなって組織が壊死します。
また、すい臓でつくられた消化酵素が自分のすい臓や周囲の組織を消化してしまう自己消化が起こります。経験したことのないような突然の激しい腹痛を伴い、重症化すると死亡する可能性がある病気です。

急性すい炎の原因として最も多いのはアルコールと胆石です。

急性すい炎の症状

急性すい炎の症状は、突然、上腹部に激しい痛みが起こります。さらにまた、すい臓の位置が背中に近いため、背中が痛く感じる場合もあります。痛みのほかにも、吐き気やおう吐、発熱といった症状が起こる場合もあります。

急性すい炎は死亡することもある病気ですので、経験したことのないような激しい腹痛に見舞われた場合、消化器を専門とする医療機関への受診をおすすめします。

急性すい炎について詳しく知りたい方はこちら

すい臓の病気になりやすい?セルフチェック

すい臓は肝臓と並び、沈黙の臓器と呼ばれています。症状が出た頃にはもう手遅れという時代もありましたが、早期発見ができれば治療できるようになってきました。
また、すい臓の病気になりやすい生活習慣をセルフチェックして、すい臓の病気にならないように生活改善をしてください。

すい臓の病気になりやすい?セルフチェックはこちら



背中が痛む原因② 多発性骨髄腫

多発性骨髄腫とは

多発性骨髄腫は、骨に大きな影響を与える血液のがんです。発症はほとんどが60歳代以上です。
白血球の一種であるBリンパ球は、体内にウイルスや細菌などが入ってくると「形質細胞」という細胞に変化し、抗体を作って戦います。その形質細胞ががん化したのが多発性骨髄腫です。形質細胞ががん化して「骨髄腫細胞」になり、主に骨髄の中で過剰に増えていく病気です。

症状

多発性骨髄腫は骨髄腫細胞が増加することによって血液のバランスが崩れ、赤血球の減少により貧血などが起こりやすくなります。また、感染症にかかりやすくなったり、出血しやすくなることもあります。

多発性骨髄腫は骨にも影響を及ぼすため、骨の新陳代謝のバランスが崩れ、骨が徐々に破壊されます。そのため腰痛背中の痛みが起こります。また、骨が血液中に溶け出すために血液中のカルシウム濃度が高い「高カルシウム血症」になり、吐き気や便秘、意識障害を起こすこともあります。

多発性骨髄腫の症状のうち、高カルシウム血症や貧血、骨の破壊など、多発性骨髄腫特有の症状が出てきたら治療が必要です。症状がない「くすぶり型多発性骨髄腫」と診断された場合は、積極的な治療をせず経過観察を行います。

多発性骨髄腫の治療と検査

多発性骨髄腫が疑われた場合、がんの影響がどこまで広がっているか、骨の病変がないかなど、全身を確認する必要があるため、さまざまな検査を受ける必要があります。

かつては多発性骨髄腫の場合、他の血液がんに比べて有効な治療法がありませんでした。しかし、この15年ほどの間に新しい治療法が出てきたことによって治療の選択肢が劇的に増え、余命も大幅に延ばすことができるようになりました。

多発性骨髄種について詳しく知りたい方はこちら



背中が痛む原因③ 心臓や血管の病気

狭心症のサイン?!

狭心症とは心臓に血液を送っている「冠動脈」の一部に異常が起き、血流が流れにくくなって、心筋(心臓の筋肉)が弱ってしまうものです。

関連通(放散痛とは)

狭心症の典型的な症状は締め付けられるような胸の痛みですが、奥歯やのど、肩、腕、みぞおち、背中などに痛みが起きる「関連痛(放散痛)」などの症状が現れることもあります。狭心症の関連痛は主に体の上半身に症状が起こり、体の左側に多いのが特徴です。

狭心症や狭心症の「関連痛(放散痛)」について詳しく知りたい方はこちら

大動脈解離

大動脈解離では、突然、胸や背中に今まで経験したことのないような激しい痛みを感じ、その症状が続きます。
大動脈は、心臓からの血液を全身に運ぶおおもとの血管で、内膜、中膜、外膜の3層に分かれています。大動脈解離は、まず一番内側の膜に傷ができ、その亀裂から血液が膜の層の間に入っていきます。血液の流れ込む圧力によって中膜が裂けると、その間に血液が溜まっていきます。これが大動脈解離です。血液が溜まることにより、大動脈が破裂することもあります。
大動脈が破裂すると、病院に到着前に6割の方が命を落とす危険な病気です。

大動脈解離の原因は、高血圧、喫煙、動脈硬化によって血管がもろくなり傷つくことです。

大動脈解離について詳しく知りたい方はこちら

大動脈瘤

大動脈瘤ができやすい場所

大動脈瘤は体の真ん中を通り、心臓に直接つながっている最も太い動脈「大動脈」の一部がふくらむ病気です。
大動脈瘤は、無症状のまま徐々に大きくなるのが特徴です。大きくなると突然に破裂して大出血を起こし、命取りになります。

大動脈瘤のうち、胸部大動脈瘤が破裂すると胸や背中に激しい痛みが起こります。

大動脈瘤が起こる原因は、動脈の老化(変性)です。高齢者・高血圧や脂質異常症のある人・喫煙する人・家族に大動脈瘤を発症した人など危険因子がある場合は、大動脈瘤の危険があるので、一度検査を受けるようにしましょう。

「大動脈瘤」について詳しくはこちら



背中が痛む原因④ 骨の病気

圧迫骨折とは

圧迫骨折は背骨がつぶれたように折れてしまうことです。
圧迫骨折の主な原因は骨粗しょう症です。圧迫骨折を起こす人の多くは、もともと骨粗しょう症で、骨の強度が低下し骨がもろくなっているため転んで尻餅をつくなど、背骨に衝撃が加わると圧迫骨折が起き、背骨がつぶれてしまいます。
圧迫骨折は痛みなどの症状が現れることがほとんどないため、圧迫骨折がある人の多くは骨折していることに気付いていないといわれています。背が縮む・背中が曲がるなどの症状が現れたときには、複数の場所に拡大している可能性があります。

圧迫骨折に気付くには?セルフチェックのポイント

圧迫骨折は寝たきりになる危険性があります。寝たきりにならないためにも、圧迫骨折に早く気づくことが必要です。

圧迫骨折にきづくためのポイント

「背が縮んだ」「背中や腰が曲がった」「寝返りや立ち上がるときに背中や腰が痛む」「動作がぎこちない」この4つの中で1つでも当てはまるようなら、一度整形外科を受診しましょう。

圧迫骨折の治療やリハビリ方法についてはこちら
「圧迫骨折とは?注意すべき動作と、症状・原因・治し方・セルフチェック法」はこちら

化膿性脊椎炎

化膿性脊椎炎は背骨の骨髄に細菌が感染して起きる病気で、骨髄炎のひとつだと考えられています。脊髄のまわりに膿(うみ)がたまり、神経を圧迫して脚に進行性のまひを起こすこともあります。

糖尿病や慢性腎臓病など、免疫の働きが低下した中高年がかかりやすく、症状は背中や腰に強い痛みが起こり、38℃程度の発熱を伴います。

「化膿性脊椎炎」について詳しくはこちら



背中が痛む原因⑤ 五十肩

五十肩は40~50歳代で最も多く発症します。五十肩の特徴は、肩や腕が痛んで腕が上がらない、衣服の脱ぎ着ができないなどの症状があげられます。40~50歳代の人が起こりやすいのは、加齢によって肩周辺の組織がもろくなり始めること、一方で仕事やスポーツなどまだまだ活発に体を動かす人が多いこと、肩関節は動く範囲が大きいために骨以外の組織が引っ張られやすいことなどがあります。

五十肩の回復に役立つ体操はこちら
五十肩の原因や経過など詳しくはこちら



背中が痛む原因⑥ その他に考えられる病気

胆石

胆石は持っている人の6割~8割は無症状ですが、胆のうの入り口を胆石が塞いだりすると背部痛が現れます。胆石になりやすいのは、「肥満気味」「脂っこい食事が好き」「50歳以上」と考えられています。

胆石の治療について詳しくはこちら

尿路結石

尿路結石は、腎臓や尿管などにできる石のことです。背中の激痛が典型的な症状です。石の場所によっては無症状のこともありますが、そのまま放置していると腎機能が低下する恐れがあります。

「徹底解説「尿路結石」とは?原因や症状、治療・回復期間、予防法」はこちら

肋間神経痛

肋間(ろっかん)神経痛とは、肋骨一本一本に沿って背骨から伸びている肋間神経が何らかの理由でダメージを受け、痛みが現れる症状です。背中から胸にかけてビリビリとした激しい痛みが走るのが特徴です。

「【動画で解説】肋間神経痛を和らげる3つの運動」はこちら



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