最も発見・治療が難しい「すい臓がん」の検査法、手術、危険因子

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すい臓がんとは

すい臓がんとは

近年増加傾向にあり、死亡者数が年間3万人を超えているすい臓がんは、がんのなかで最も発見や治療が難しいとされています。
すい臓は、胃の裏側の体の奥にあるため、超音波が届きにくく、内視鏡の挿入もできません。また、自覚症状として、腹痛や背中の痛み、黄疸、体重減少、食欲低下などがありますが、早期には自覚症状が現れないため、早期に発見されることが非常に少ないのです。そのため、すい臓がんの多くは診断されたときにかなり進行しています。

すい臓がんを早期発見するには、「危険因子を知る」「1cm以下で見つける」「間接所見(がんが疑われる病変)を見逃さない」「検査を適切に組み合わせる」という4つのポイントを抑えることが大切です。

すい臓がん 早期発見のポイント

すい臓がんの危険因子

すい臓がんの危険因子

血縁者にすい臓がんの人がいれば自分もすい臓がんになりやすいことがわかっています。特に血縁者2人以上がすい臓がんである場合を家族性といい、発症リスクは約7倍です。糖尿病が急に悪化したり発症したりした場合には、すい臓がんの可能性を考えます。慢性すい炎の人はすい臓がんを発症するリスクが約12倍です。肥満、喫煙、大量飲酒も危険因子です。

糖尿病の急な悪化はすい臓がんの可能性?詳しくはこちら

がんを1cm以下で見つける

すい臓がんの長期生存には、がんをごく小さい段階で発見することが必要です。特に1cm以下で発見できれば5年生存率は80%と高くなります。1cm-2cmでは50%です。ただ、一般的な画像検査で見つけるのは非常に困難なので、適切な検査を組み合わせて行うことが大切です。

間接初見を見逃さない

間接初見を見逃さない

すい臓がんを早期で発見するためには、「間接所見」を見逃さないようにすることが重要です。
すい臓がんができると、ごく小さい段階から「主すい管の拡張」または「すいのう胞」という病変が現れることがあります。これらを「間接所見」といいます。主すい管の拡張とは、すい液が分泌されるすい管の幹に当る部分が拡張することです。すいのう胞とは、すい液などのたまった袋がすい臓の中にできるものです。

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間接所見を見つけるには腹部超音波検査が有効です。腹部超音波検査は、おなかの上から超音波を当てる簡単な検査で多くの医療機関で受けられます。この検査で小さいがんを見つけるのは困難ですが、主すい管の拡張やすいのう胞などの間接所見なら比較的見つけやすいのです。

超音波内視鏡検査
組織の採取

間接所見などですい臓がんが疑われたら、精密な検査を受けます。その1つが超音波内視鏡検査です。内視鏡を胃まで挿入し、超音波を発生させてすい臓を詳しく観察する検査です。1cm以下のがんを発見できることがあります。さらに組織を採取するなどして、がんを早期診断します。

治療法をどう選択するのか

すい臓がんでは、長期生存を目指して手術を行います。手術できるかどうかはがんの進行度(ステージ)によって異なります。また「手術できる」「手術できない」のほかに「ボーダーライン」があります。ボーダーラインとは、手術は可能であってもがんを完全には取り除けず、再発する可能性も高い場合のことをいいます。実際に手術するかどうかは、患者さんひとりひとりの状態から慎重に判断します。

手術の前後で使われる抗がん剤

手術の前後で使われる抗がん剤

すい臓がんの場合、手術には抗がん剤治療を組み合わせます。再発を予防し生存率を高めるためです。手術の後には抗がん剤を必ず使います。さらに、ボーダーラインのケースでは手術の前にも抗がん剤を使うことが専門的な医療機関などで増えてきました。手術できるケースでは、手術前の抗がん剤治療が臨床試験として行われ現在その報告が待たれています。

すい臓がんの手術

すい臓がんの手術

すい臓がんの手術は、がんができた部位によって切除する範囲が異なります。

部位によって異なるすい臓がんの手術

すい頭部のがんでは、すい頭部と近くにある十二指腸・胆管・胆のうなどをまとめて切除し、残った臓器をつなぎ合わせる再建術を行います。すい体部やすい尾部のがんでは、その両方とひ臓などを切除しますが、臓器をつなぎ合わせる必要はありません。

すい臓がんの手術

すい臓全体にがんが広がっている場合は、すい臓をすべて取り除くことがあります。その場合、すい頭部のがんと同じように周囲の臓器も切除し残った臓器をつなぎ合わせます。すい臓をすべて切除すると、インスリンの分泌がなくなるため、術後はインスリン製剤の注射が必要になります。
すい臓がんで手術ができない場合は、抗がん剤による治療、または抗がん剤と放射線を併用した治療を行います。今まで、すい臓がんは抗がん剤が効きにくいと言われていましたが、最近は効果のある薬が増えてきました。

すい臓がんのQ&A

『Q&Aすい臓がん』はこちら

この記事は以下の番組から作成しています

  • きょうの健康 放送
    すい臓の病気 徹底解説「すい臓がんの早期発見」