文研ブログ

文研フォーラム 2019年02月15日 (金)

#170 「日本では、みんな治してもらったんだね⋯」

メディア研究部(メディア動向)大野敏明

先日、と……ってもすてきな方にお会いしました。今日はその方の話を。

マセソン美季さん。98年の長野パラリンピック日本代表で、アイススレッジスピードレースの金メダリストです。(当時は松江美季さん)

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大学生の時に交通事故で脊髄を損傷したマセソンさん。父親からは「一生俺が守る」と言われたそうです。親の愛ですね。お父様もすてきです。
しかし…!マセソンさんは「そんなのイヤ!自分の人生は自分で決める」と、大好きなスポーツに真剣に取り組み、金メダリストにまで登りつめます。さらには大学卒業後、障害者スポーツを学ぶために単身アメリカへ留学…
かたや浜田省吾の名曲「AMERICA」を聴きながら「あの頃オレはなんでアメリカに留学しなかったのだろう…」と未だにうじうじと悔いている私。マセソンさんの前向きな生き方、バイタリティー、頭が下がるばかりです(比較するのもおこがましいですが)。

現在は、元アイススレッジホッケーカナダ代表の夫と2人の息子さんと共に、カナダで暮らすマセソンさん。日本に来ると、いつも感じることがあるそうです。それが「カナダに比べ、街で障害者を見かけない」ということ。
息子さんが幼かった頃、日本に来た時に「日本はテクノロジーが進んでるから、みんな治してもらったんだね」と言ったのだそうです。うぅぅ…
カナダでは街で障害者に出会うのが「普通」過ぎて、誰も意識すらしないほど。子供が見るアニメーションなどにも「普通」に車いすの少年が登場したりするのだそうです。
「障害者の存在が「普通」な社会に、日本が少しでも近づくように」と、マセソンさんは今、国際パラリンピック委員会の教育委員として、パラスポーツを通して子供たちの障害者理解をすすめる活動をしています。日本とカナダを行き来する忙しい毎日を送るマセソンさん。疲れを見せないはつらつとした笑顔も、本当にすてきです。

さて、そんなマセソン美季さんをお招きし、3/8にシンポジウムを開催します。

NHK文研フォーラム2019
シンポジウム 共生社会実現と放送の役割 ~東京2020パラリンピックをきっかけに~

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障害がある人もない人も共に生きる社会を実現するため、放送はどのような役割を果たしていけばいいのか。生マセソンさんのお話を聞きに、是非おこしください。