文研ブログ

調査あれこれ 2018年10月26日 (金)

#150 幼児のインターネット動画利用が増加中!? ~2018年6月「幼児視聴率調査」から~

世論調査部視聴者調査) 行木麻衣


先日、我が家の息子(3歳)をスマホで撮影していたら、カメラに向かって「○○チャンネルまた見てね!」と、YouTube(ユーチューブ)に出ているお子さんのまねを始めました。(「○○チャンネル」とは、子どもの名前やニックネームをつけたチャンネルでおもちゃレビューなどを行っている動画です)。インターネット動画が大好きな息子ですが、とうとうYouTubeごっこを始めたのかと驚きました。
近年、小学生の将来なりたい職業でYouTuber(ユーチューバー)と答える子もいると聞きます。小学生にもインターネット動画利用が広まってきていますが、幼児はインターネット動画をどのくらい見ているのでしょうか。

文研では、毎年6月に2~6歳の未就学児(東京30km圏)を対象として「幼児視聴率調査」を実施し、テレビの視聴状況、録画番組・DVDの利用状況などを聞いています。
きょうは、今年6月4日(月)~10日(日)の1週間に実施した「幼児視聴率調査」から、幼児のインターネット動画利用と保護者の意識を紹介します。

「幼児視聴率調査」の付帯質問で、幼児の休日を除くふだんの日1日にインターネット動画をどのくらい再生しているのかを尋ねています。「15分未満」から「2時間以上」まで「見る」と答えた人すべてを足し上げると(視聴計)、インターネット動画を見る幼児は、今年は50%で、2015年以降、増加傾向が続いています。男女別・年齢別でみても、今年はそれぞれ50%前後と性別や年齢による差はみられませんでした。

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また、インターネット動画の再生時間量をみると、インターネット動画を見ている幼児の中では「30分未満」が最も多く、続いて「30分以上1時間未満」でした。2016年と比べて1時間を超える長時間利用者が増加し「ほとんど、まったく見ない」が減少しました。

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インターネット動画の再生時間は「30分未満」が多いものの、1時間以上の長時間利用者が増加しているという現状を受けて、一児の母として、子どもがインターネット動画を見ることに対して保護者の方々はどのように感じているのか気になってきました。
こちらは、付帯質問で「お子様がインターネット動画を見ることについて、どのように思うか」を尋ねた結果です。


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「子どものためになる動画を見せたい」が51%と最も多く、約半数の保護者が「子どものためになる動画」を期待していることが分かります。一方で、約3割の保護者が「動画は子どもに悪い影響がある」と感じています。「その他」を選択した方には具体的に記入してもらいましたが、その中には「時間を決めている」「長時間でなければよい」といった時間制限をしている、「移動中など、仕方なく」といった本当は使いたくないけれど仕方なく使っているなどの回答がみられました。
約半数の幼児がインターネット動画を利用している中で、インターネット動画に対して不安に思う面がある一方、ためになる動画を見せたいという保護者の気持ちや、時間を制限するなどしてインターネット動画と上手に付き合っている保護者の姿が見えました。
今回、上の5つの選択肢に入らなかった「その他」は21%で、想定よりもさまざまな意見があがりました。保護者の方々が「お子様がインターネット動画を見ること」について日ごろから幅広い視点で考えていることの表れだと感じます。今後も幼児とインターネット動画の関係について、保護者の意識がより的確につかめるような調査設計を検討していきたいと思います。

幼児にテレビはどのくらいの時間見られているのか、録画番組やDVD利用の状況…など、今年の詳細な結果は『放送研究と調査』10月号で報告していますので、お読みいただければ幸いです。