NHKスペシャル

シリーズ東日本大震災 避難指示“一斉解除”
~福島でいま何が~

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福島第一原発事故から6年。避難指示が出されていた地域は大きな転機を迎える。“帰還困難区域”を除く大部分の地域で、避難指示が一斉に解除される計画なのだ。「住民が帰るための環境が整った」と国が判断したためで、これにより原発事故で立ち入りが制限された区域の7割が地図上から消えることになる。
しかし、現場では様々な問題が取り残されたままだ。今回、避難指示が解除されるのは、これまでと比べて格段に放射線量が高かった地域。未だ点在するホットスポット、営農再開を阻む除染廃棄物の山、にも関わらず打ち切られていく東京電力からの賠償・・・。帰る条件が整っていないと訴える住民も少なくない。一方の自治体は、これ以上避難が続くと帰還意欲が失われ、町が消滅するという危機感から避難指示解除を急いでおり、両者の溝が深まっている。
また、既に避難指示が解除された自治体も復興への道は見通せていない。住民の帰還は思うように進まず、コンパクトタウン建設など、復興の切り札としてきた事業も大幅に遅延している。その原因を探ると、原発に依存してきた地域が抱える構造的な問題が見えてきた。
放射能で汚染された広大な地域を除染し、人が戻るという世界でも先例のない“帰還政策”。いま現地で何が起きているのか。原発事故からの復興に苦闘する現場を見つめる。