NHKスペシャル

シリーズ東日本大震災 もっと高いところへ
~高台移転 南三陸町の苦闘~

骨組みだらけの防災庁舎で知られることになった宮城県南三陸町。
津波は3階建ての庁舎を壁のようにのみこみ、33人の職員が命を絶たれた・・・。
その後1年に及ぶ取材で、私たちは、生き残った職員たちがすさまじい状況の中で生き残り、想像を超える喪失感と罪悪感の中で復興を担っている事実を知った。これは、今まで全く明かされたことのない生存者の証言と未公開の生々しい映像記録だ。
震災後、生存した町職員は「命を失った職員の分まで町の復興に全力を尽くす」と復興計画を練り上げ国や県からも被災地の復興モデルとして期待を集めてきた。しかし、いまこの南三陸町ですら基本となる高台移転の計画推進が遅れ、高台移転で意思を統一してきた住民に亀裂が広まっている。既に先行きの不透明さに業を煮やし、町を捨てる住民が去年暮れから後を絶たない。
震災から1年、被災自治体の復興はどのように進み、どのような壁にぶつかっているのか。
番組では、南三陸町役場の仮設プレハブ庁舎にカメラを据え、生き残った町の職員たちの知られざる苦闘の中から、被災地が抱える復興の課題を浮かび上がらせていく。