NHKスペシャル

シリーズ東日本大震災 元気に老いる
~生活不活発病・被災地の挑戦~

東日本大震災で急速に高齢化と人口減少が進み、高齢化率が軒並み30%を超える被災地。その姿は、数十年後の日本社会の縮図だとされる。中でも対応が迫られているのが、介護の問題。被災地では今、新規の要介護申請が相次いでいる。
そんな中、震災以来、毎年、全町民を対象にした「生活機能調査」を実施してきた宮城県南三陸町で要介護状態につながる大きな要因として浮かび上がってきたのが、“生活不活発病”だ。生活不活発病とは、体を動かさなくなることで心身の機能が衰え、放置すると寝たきりになることもある病気。南三陸町では震災後に歩行困難になるなど生活不活発病のリスクのある人が今もおよそ3割いることが判明した。
長年、生活不活発病の治療・研究に携わってきた大川弥生医師は、定期的に南三陸町を訪れ町と協力し、生活不活発病に関する知識の普及啓発とともに、生活不活発病の人たちへの改善策を実施してきた。生活不活発病は“すること”がなくなることで生じると指摘する大川医師は、本人が“すること”を取り戻し、自ら体を動かすことで“生活を活発”にすることが回復の鍵となると訴え、介護対策に奔走している。
高齢化が進む日本にとって、被災地だけの問題にとどまらない「生活不活発病」対策。番組では、大川医師の日々の活動、さらには自ら生活不活発病対策に乗り出した住民たちの取り組みを取材。どうすれば、“介護危機”を防ぐことができるか、考えていく。