NHKスペシャル

シリーズ東日本大震災 ふるさとの記憶をつなぐ

東日本大震災から丸2年。復興事業が本格的に動き始めた被災地では町の風景は一変し、地元の人間ですら「かつてそこにどんな町があったのか思い出せない」という状況が生まれている。かつてその場所に暮らしてきた痕跡がことごとく失われ、時の移ろいと共に、その記憶までも容赦なく奪われていく中、その土地に暮らしていくことの意味や、そもそも自分が何者であるのか?自らのアイデンティティを見失い、立ちすくんでいる人たちは少なくない。
こうした中、被災地では、津波で失われる前のふるさとの風景の記憶をつないでいくための取り組みに注目が集まっている。人々にとっての大切な場所だった高田松原の7万本にのぼる松林の記憶をつなぎ止めておくために“奇跡の一本松”の保存を決めた岩手県陸前高田市。更に津波で失われた街並みを模型に復元し、その模型をキッカケに人々の心の奥底に埋もれた記憶を呼び覚まして、それを記録していこうという取り組みも、岩手・宮城・福島の3県で進められている。
復興への日々を歩む人々にとって、かつてのふるさとの風景の記憶や思い出がどれほどかけがえのないものなのか?津波で失われる前の被災地の映像でたどりながら、見つめていく。