BS放送

4月20日(土)午後9時00分~午後11時05分

「リバー・ランズ・スルー・イット」

主演ブラッド・ピット、監督ロバート・レッドフォード。
美しい川と山、雄大な自然が広がるモンタナを舞台に、厳格な父を持つ兄弟の絆を詩情豊かな映像で描く人間ドラマ。

今月の1本4K推しポイント!

おすすめ映画の4K見どころをご紹介

今回ご紹介するのは雄大な自然が広がるモンタナを舞台に、フライフィッシングを通して父と息子、兄弟の絆を美しい映像美でつづるヒューマンドラマ「リバー・ランズ・スルー・イット」(1992)。
20世紀のはじめ、モンタナ州ミズーラ。厳格な牧師の家庭で育てられた、真面目で秀才肌の兄ノーマンと自由で活発な弟ポール。対照的な2人は父からフライフィッシングを教わり、成長していきます。やがてノーマンは東部の大学に進学しますが、地元に残ったポールは、酒やギャンブルに溺れてしまいます。ノーマンはポールを気遣いますが…。

原作は大学教授だったノーマン・マクリーンが70歳を過ぎてから1976年に発表した自伝的小説で、アメリカ映画を代表する大スター・ロバート・レッドフォードの監督第3作です。自然をこよなく愛するレッドフォードは、原作に深く魅せられ映画化を決意、製作だけでなくナレーションも担当しています。

ポールを演じるのはブラッド・ピット。天才的なフライフィッシングの才能を持ちながらも破滅型の人生を送ってしまう若者を、繊細かつ抜群の演技で表現しています。撮影当時27歳、端正な顔だちから“ロバート・レッドフォードの再来”ともいわれ、そのレッドフォード監督作が出世作となりました。現在は俳優だけでなく自身の映画会社を設立し、アカデミー作品賞を受賞した「それでも夜は明ける」(2013)「ムーンライト」(2016)などの野心的な作品では製作を務めるなど、映画人として幅広く活躍しています。

本作の大きな見どころは極上の映像美。山の峰々、緑の木々、陽光を受けてキラキラときらめく川面、川の流れ、ジャンプするマス、優雅に曲線を描く釣り糸…。実際にモンタナはじめ、各地でロケ撮影が行われ、雄大な自然の中で撮影された映像が、4Kではより美しく見るものに迫ります。撮影監督はフランス出身の名撮影監督フィリップ・ルースロ。本作でアカデミー撮影賞を受賞しています。

1945年生まれのルースロは、フランスで1950年代に起きた、それまでの概念にとらわれない映画製作運動“ヌーベルバーグ”を代表するエリック・ロメール監督の「モード家の一夜」(1969)「クレールの膝」(1970)「愛の昼下がり」(1972)といった作品にアシスタント・カメラを担当し、この3作品の撮影監督ネストール・アルメンドロスの助手を務めました。アルメンドロスは、とりわけ自然の光を深く研究・計算し、簡素な照明と反射板を使って美しい映像を作りあげ、映像美に新たな地平をもたらした巨匠です。
ルースロも自然の光や反射する光を絶妙にとらえ、リアリティーを感じさせながらも、まるでファンタジーのようにも思える、映画ならではの光と影を実現しています。

自然光撮影の名手ルースロですが、ティム・バートン監督の極彩色のファンタジー「チャーリーとチョコレート工場」(2005)、デジタルやVFXを駆使した「ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅」(2016)などでは、スタジオでの複雑な照明や合成を駆使して作りあげる映像にも手腕を発揮。最新のテクロノジーも積極的に取り入れ、つねに監督の希望に応えようとする、まさに“映像の達人”です。
何度見てもため息の出るような映像美、ぜひ4Kでご堪能ください!