BS放送

6月17日(土)午後4時10分~午後6時00分

「サイコ」

巨匠アルフレッド・ヒッチコック監督のスリラー映画の最高峰。
映画史上の名場面として知られるバスルームでのシーンなど、映画ならではの魅力にあふれる傑作中の傑作。

4K推しポイント!

おすすめ映画の4K見どころをご紹介

今回ご紹介するのは、観客をハラハラドキドキさせる名演出から“マスター・オブ・サスペンス”ともよばれるアルフレッド・ヒッチコック監督の代表作であり、最大のヒット作、「サイコ」(1960)。世界中の映画作家に大きな影響を与え、公開から60年以上たった今も研究・分析の題材となっている映画史上最高のスリラー映画のひとつです。

当時の映画はすでにカラーが主流でしたが、ヒッチコック監督はあえてモノクロで製作。インタビューでは「赤い血をみせたくなかった」とも語っていますが、モノクロだからこそ、現実から遊離したかのような映像が印象的です。4K版ではその強烈なコントラストがより鮮明に。

例えば前半、ジャネット・リー演じるマリオンが自動車で逃亡する場面。運転するマリオンの表情の映像と、マリオンの視点からの運転席の景色が切り返しで描かれます。夜、激しい雨の中、対向車のヘッドライトにマリオンがまぶしそうにする表情や、真っ暗でヘッドライトしか見えず、光だけが動いているかのような運転席からの映像のあと、まるで異世界にやってきたように「ベイツモーテル」という看板が暗いなかで浮かびあがってきます。この一連の場面、4K版ではジャネット・リーの目じりのしわや口元、強烈なヘッドライトが、シャープで鮮明な映像によって、より迫力が感じられます。
映画史上名高いバスルームの場面は、夜の黒とは対照的に、浴槽や壁など「白」が際立った映像となっており、見るものに衝撃をもたらします。
音楽も印象的です。
感情を切り裂くような弦楽器の旋律は、ヒッチコック作品8本を手がけ、名コンビだったバーナード・ハーマンの作曲。バスルームの場面では、当初ヒッチコック監督は音楽を入れないつもりでしたが、ハーマンの音楽を聴き、音楽を強調する演出に変更したといいます。4K版はオリジナル音源をもとに5.1サラウンド化。セリフ、自動車の走行や雨音などの効果音、そしてハーマンの音楽と、さまざまな“音”が重層的で奥行きある音響を作りあげています。

ちなみに、本作公開時ヒッチコック監督は上映が始まってからの途中入場を禁止したそうです。あっと驚く展開を演出するため、監督自らの姿の看板を作成し「はじめからご覧ください」「たとえ合衆国大統領でもイギリス女王でも、映画が始まったら入場できません」とキャンペーンし、大きなPR効果を発揮。今でいう「ネタバレ厳禁」の先駆けとなりました。

BS4Kでは初放送の「サイコ」。
ディテールまで凝りに凝ったヒッチコック監督の美学と演出、特にラスト、椅子に座る人物の表情に注目してご覧ください!