BS放送

1月13日(土)午後2時30分~午後5時46分

「シンドラーのリスト」

巨匠スティーブン・スピルバーグ監督が、ナチスの虐殺から多くのユダヤ人の命を救った実在のドイツ人実業家を迫力のモノクロ映像で描き、アカデミー賞7部門に輝いた名作。

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今回ご紹介するのはアカデミー作品賞はじめ7部門を受賞したスティーブン・スピルバーグ監督の代表作「シンドラーのリスト」(1993)。
第二次世界大戦中、ナチス・ドイツ占領下のポーランド。ドイツ人実業家のオスカー・シンドラーは迫害されるユダヤ人を自身の工場に雇用し、事業を成功させます。
しかし、ユダヤ人が居住地から収容所に送られ、次々に虐殺されていくのを知ったシンドラーは、全財産を投じて命を救おうとしますが…。

ユダヤ系アメリカ人のスピルバーグ監督が、映画化権を取得してから10年近く構想を練り、ポーランド各地で撮影を行って完成させるなど、なみなみならぬ情熱で取り組んだ本作。

当時のニュース映像などを研究しあえてモノクロで製作することで、ドキュメンタリーのような迫力で虐殺をはじめ背筋も凍るような場面を作りあげています。ひときわ印象的なのが、ユダヤ人たちが居住地から追いやられ殺されるのをシンドラーが高台から見ている場面。モノクロの映像の中で一人、赤いコートの少女だけがカラーで表現されます。この場面の演出は、スピルバーグ監督が「オールウェイズ」(1989)に出演したオードリー・ヘプバーンから聞いた話がもとになっているとされています。ヘプバーンは第二次大戦中、オランダでレジスタンス活動にかかわった戦争体験者ですが、列車に乗り込む人たちの中に赤いコートを着た少女がいたことが深く記憶に刻まれていたそうです。
4K版では、モノクロのグレーの画面のなかの、少女とくすんだ赤いコートがよりドラマチックに表現され、見るものの情感をかきたてます。“映像で物語を語る”スピルバーグ監督の演出に圧倒されます。

見るものを戦時中に引きずり込むような、リアリティーあふれる映像を作りあげたのが撮影監督のヤヌス・カミンスキー。ポーランド生まれのカミンスキーは20代でアメリカに渡り、低予算のホラーや犯罪ドラマ、テレビドラマなどを手がけていたところ、スピルバーグ監督に抜てきされました。カミンスキーはそれまでの経験をもとに、手持ち撮影などの機敏で臨機応変なカメラワークと深い味わいの影を作り出す的確な照明を実現し、本作でアカデミー撮影賞を受賞。以降、すべてのスピルバーグ監督作品を担当し、なくてはならない相棒となりました。

シンドラーを演じるのはリーアム・ニーソン。大柄で低い声、酒と女性が大好きで、目的のためにはワイロも送るバイタリティーあふれる主人公にはピッタリ。本作でアカデミー主演男優賞にノミネートされ、大スターとなりました。冷酷な収容所の所長、アーモン・ゲートを演じたイギリスのレイフ・ファインズも本作でアカデミー賞にノミネートされ、演技が高く評価されました。ファインズはその後「ハリー・ポッター」シリーズで悪役ヴォルデモートを演じるなど、幅広く活躍しています。「ガンジー」(1982)でインドの独立指導者マハトマ・ガンジーを演じ、アカデミー賞を受賞したベン・キングズレ―は父親がインド人ですが、本作ではシンドラーを支えるユダヤ人会計士を見事に演じ切っています。

今回は5.1サラウンドでの放送です。銃声や列車の音、そして随所に出てくるタイプライター。ナチス・ドイツがユダヤ人を収容所に入れるために作成する書類も、シンドラーが全財産をかけて命を救おうと作成するリストもタイプライターで作成されます。「命のリスト」の重く響く音にもご注目ください。

スピルバーグ監督が全身全霊を込めた名作、じっくりご覧ください!