BS放送

11月10日(金)午後10時15分~午後11時57分

「ラビリンス 魔王の迷宮」

デビッド・ボウイがゴブリンの魔王を演じ劇中歌も担当。
さらわれた弟を救う旅に出た少女を描く、ジョージ・ルーカス製作総指揮の傑作ファンタジー。4KHDR版で放送。

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今回ご紹介するのはデビッド・ボウイがゴブリンの魔王を演じる、ミュージカル仕立ての傑作ファンタジー「ラビリンス 魔王の迷宮」(1986)。
ゴブリンの王ジャレスにさらわれた弟を、少女サラが助け出す旅に出る大冒険のお話です。

サラを演じたのは、「トップガン マーヴェリック」(2022)などで現在も大活躍中のジェニファー・コネリー。撮影当時は14歳、空想好きで多感な少女を見事に演じています。ゴブリンの王ジャレスを演じるのはブリティッシュ・ロックを代表するミュージシャン、デビッド・ボウイ(1947~2016)。まるで生きているかのように表情豊かで複雑な動きをみせるゴブリンたちは、テレビ番組「セサミストリート」などのクリエーターとして知られるジム・ヘンソンとスタッフたちが操作しました。製作総指揮を「スター・ウォーズ」シリーズのジョージ・ルーカスが手がけ、イギリスを代表するコメディー集団「モンティ・パイソン」のテリー・ジョーンズが脚本を執筆するなど、当時第一線のクリエーターたちが総力を結集した驚異の映像は、40年近くたった今も見るものを魅了します。

製作当時は、まだコンピューター・グラフィックスやデジタル技術は一般的ではなく、本作はいわばアナログ、多くのスタッフが一丸となってスタジオで人形を動かし、それを撮影する手法で製作されています。
例えば、迷宮でサラと仲良くなって一緒に迷宮を冒険するゴブリン・ホグル。体は俳優が演技し、頭部・顔はコンピューターで制御され、複数のパフォーマーが操作して表情を作り出す「アニマトロニクス」と呼ばれるこの時代を代表する視覚効果が使われています。(ほかにも「エイリアン2」(1986)の巨大エイリアン・クイーンや「スター・ウォーズ/ジェダイの帰還」(1983)のジャバ・ザ・ハットなど)そのアニマトロニクスや、手作業で人形を動かすパフォーマンスは圧巻です。さらにメークした両手だけで表情を作り出すゴブリンなど、さまざまなアイデアにあふれた不思議な生き物たちが最大の魅力です。

本作ではゴブリンの王ジャレスを演じ、劇中歌も担当したデビッド・ボウイ。
67年にレコードデビューし、70年代には極彩色の派手な衣装とメークのパフォーマンスで一躍注目され、その後も文学性の高い歌詞と、ジャズをはじめブラック・ミュージックに根ざしながらも最新のエレクトロニクスなどを使った楽曲のアルバムを発表し続けました。
スリムで端正なルックスのボウイは、パントマイムやダンス、演技にも関心を寄せ、俳優として映画にも出演。「地球に落ちてきた男」(1976)では水を求めて地球にやってきた宇宙人、「戦場のメリークリスマス」(1983)ではイギリス軍人、「ハンガー」(1983)では吸血鬼と、さまざまなキャラクターを演じています。本作の魔王ジャレスも派手なメークと大がかりなコスチュームに強烈なヘア・デザインで、奇天烈(きてれつ)なゴブリンに囲まれてもまったく負けていない存在感をみせています。

トレバー・ジョーンズとともに音楽も担当し、“アンダーグラウンド”をはじめゴブリンたちと一緒に歌い踊るパフォーマンスは魅力的です。ときに難解な楽曲のボウイですが、本作は小さな子どもにも楽しんでもらいたいと出演を快諾したというだけあって、歌詞もメロディーもキャッチー。子どもから大人まで、世代を超えて楽しめるファンタジー映画の傑作に仕上がっています。

今回の4K放送はHDR版での放送です。細部まで作りこまれた不思議な世界を、4Kでお楽しみください!