【みえDE川柳】 お題:のんびり
百歳の手はのんびりと鶴を折る/スイッチ さん
百歳まで長生きをしたおばちゃんは何事にもしばられることなくのんびりと陽の当たる部屋で折紙を楽しんでいる。こうしておられた鶴には、平和への願いが込められている。今日までの長い人生における数々の苦労や試練を乗り越えてこられたおばあちゃんの顔付きや指先のようすまではっきりと見えてくる。なにか、じんとさせられる。
「百歳の手は」と「手」を主語にしている表現方法が巧みである。
ゆっくりと食べて電車は次の便/だんでらいおん さん
「のんびり」の文言こそ使われていないが、のんびりとした雰囲気が充分に伝わってくる句である。われわれ現代人では電車の時間を気にしながらせかせかと食事をかき込むのが普通であろう。しかし、この作者は、ゆっくりと食事を楽しみ、何時までに移動しなければならないという制約に縛られることなく、「次の便」で良いではないかという余裕を持っている。たまには、われわれも時間に追われることなく、この作者のように、のんびりとした過ごし方をしてみたいものである。句の背景にある「ゆっくりと流れる時間」が見事に表現されている。
老い二人時計を止めて日向ぼこ/あそか さん
良く晴れたお昼下がりに縁側で日向ぼこを楽しんでいるお二人の姿がくっきりと目に浮かんでくる。お子さんたちもそれぞれ独立をされて、今は、ゆったりとお二人で人生を歩んでおられる。「時間を止めて」、こんなことは、現実的には願っても叶うことなどないが、二人のゆったりとした気持ちの中では時間は止まっているのである。何とも羨ましい限りであると同時にいつまでも仲良く長生きしてほしいと願う。
<入選>
温泉にのんびりつかる猿の群れ/川端日出夫 さん
のんびりとよめないカルテのぞき見る/やすさん さん
のんびりと実家の茶の間子に戻る/なつ さん
のんびりとしてはいないとかたつむり/ぷいこると さん
日は昇りまだのんびりとしてる月/ムギ さん
のびているいや溶けている昼寝猫/ぱぱりん さん
面長なだけでのんびりしていない/IQより愛嬌 さん
のんびり屋妻が駆け出す目玉品/横手敏夫 さん
のんびりの時間が増えて背が伸びる/ぱせり さん
せっかちな友は誘わぬ放浪記/夜半亭あぶら一虫 さん
丹川修先生
「のんびり」のお題に対して、多くの方が頭の中に思い浮かべることは、「猫の姿、温泉に浸る、日向ぼこ、鈍行列車、一人旅」などであろうと思います。やはり、予想通り、このあたりに照準を当てた句が、多く見受けられました。
また、誰しものんびりとした時間を持てるものなら持ちたいという願望があるのでしょう。従い、そのような願望を詠まれた句も多数ありました。作り易いお題であった半面、前述のような思いの中に縛られることなく、その枠から出た意外性のある句は少ないように思いました。その意味合いでは、出題側にも責任の一端が、なくはないと言えます。しかし、その中において一読して心の底から「のんびり」を感じる句を選ばせていただきました。本当に、たくさんのご投句をいただきありがとうございました。
投稿者:NHK津放送局 | 投稿時間:18:50 | 過去の入選作 |
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【旬食!みえ】たけのこの花シューマイ
料理監修:三重調理専門学校
<たけのこの花シューマイ>
《たけのこ 下ゆで用 材料(4人分)》
たけのこ 2個
米ぬか 適量
とうがらし 適量
《シューマイ 材料(4人分)》
ゆでたたけのこ 150g
むきえび 150g
鶏ひき肉 100g
塩 小さじ1
おろししょうが 小さじ1
酒 大さじ1
砂糖 小さじ1
オイスターソース 小さじ1
ごま油 小さじ1
かたくり粉 大さじ1
シューマイの皮 36枚
<作り方>
① 皮がついたままのたけのこを4分の1ほど切り落とし、火通りを良くするため先端に十字に切り込みを入れる。
② 鍋にたけのこが浸るまで水を入れ、あくやくさみを減らすため米ぬかととうがらしを加える。
③ 吹きこぼれない火加減で1時間ほどゆでる。
④ 一晩冷ましてから皮をむいたら下準備完了。
⑤ たけのこを穂先、中央、根元の3等分に切り、今回は食感の良い根元の部分を使う。
⑥ フードプロセッサーに背ワタを取ったむきえび、鶏ひき肉、塩を入れてねばりが出るまで混ぜる。
⑦ おろししょうが、酒、砂糖、オイスターソース、ごま油、かたくり粉を入れて混ぜ、角切りにしたたけのこも加える。
⑧ シューマイをお花型にするため、皮を横に3枚重ねて並べ、上に具材をのせる。
⑨ 皮を半分に(三角形に)折る。先を少しズラすと巻いたときにきれいなお花型に!
⑩ 皮を端から3つまとめて丁寧にまき、端を水でのり付けする。
⑪ 花びらが開くように皮を整え、飾り用のたけのこを上にのせる。
⑫ 蒸し器でおよそ15分加熱したらできあがり。
1本の「たけのこ」から「炊き込みご飯」「若竹汁」「たけのこのシューマイ」と春の御膳が楽しめます。
投稿者:NHK津放送局 | 投稿時間:10:13 | 旬食みえ レシピ集 |
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【みえDE川柳】 お題:肉
肉無しのカレーに入れる笑い声/田舎のマダムさん
「肉無しのカレー」というと何だかわびしいものがあるが、この句からはそんなことは感じられない。それはもちろん、肉の代わりに「笑い声」が入っているからだ。「このごろお肉も高くてさー、今日は肉なしでがまんしてー」などと、あっけらかんとした調子で言われたら、「えーっ」と声を上げながらも、「しょうがないなー」と苦笑いして食べるしかない。
ちなみに、ちくわのカレーがおいしいと聞いたので先日作ってみたら、シーフードカレーのような味でなかなかおいしかった。一度お試しください。
焼き肉のタレでごまかす晩ごはん/かぐや姫 さん
最近では、砂糖やしょうゆといった基本的な調味料より、それだけで味付けできる合わせ調味料が売り上げを伸ばしているという。中でもめんつゆと焼き肉のたれは、応用も効いて使い勝手がいいらしい。
さて、この晩ごはん、いったいどんなごまかし方をしたのだろう。安い肉をタレでさも高級な肉のように見せかけたのか、それとも野菜炒めの味付けに使ったのか。まさか白いご飯に焼き肉のタレだけをかけて焼き肉丼風、なんてことはないでしょうね。
肉食べて少し素直な反抗期/だんでらいおん さん
この肉は、焼き肉か唐揚げか、それともとんかつか。いずれにせよボリュームのある、いわゆるガッツリ系の皿が目に浮かぶ。ふだんは仏頂面で、家族との食卓もめんどうくさそうに囲む反抗期の子ども。それが「少し素直な」というのだから、小さな声で「おいしい」とつぶやいたり、「来週、授業参観」などとぼそっと言ったりしたのかもしれない。
「肉」の題から、反抗期の子どもの表情や家族の情景を想像させる、ドラマ性のある句になった。
<入選>
競争で食べる焼肉いつもレア/ゆきち さん
※放送では別の作者のお名前をご紹介しました。お詫びいたします。
食べ放題 歳はとっても 肉が先/ミードラさん
肉眼で無理序の口の力士の名/中原政人 さん
ぜい肉は見せられないが隠せない/茶飯士 さん
世話されたお礼肉球触らせる/スイッチ さん
肉じゃがの牛か豚かに出る文化/夜半亭あぶらー虫 さん
いい肉が照明にまで指示を出す/せきぼー さん
牛丼がオシャレでのせる紅しょうが/せいじ さん
役柄に合わせ役者が落とす肉/流星 さん
焼き鳥の串から愚痴がこぼれ落ち/川端日出夫 さん
橋倉久美子先生
431句ものご投句をいただきましたが、大きく分けて、「食べる肉」の句と「体についた肉」の句がありました。
「食べる肉」の句は、生活感のある句や現在の物価高を題材にした句が多く、共感しながら読みました。「すき焼き→高価、物価高」「焼き肉→取り合い」という句が多いのはわかるとして、どういうわけか「肉じゃが→男心をつかむ」「肉まん→部活・塾帰り」という相関関係があるようで、おもしろく思いました。
一方、「体についた肉」の句の中には、入選とするにはやや品のない句もありました。川柳は庶民の文芸ですが、だからこそ、節度を持って詠むことも心がけてほしいと思います。
投稿者:NHK津放送局 | 投稿時間:11:25 | 過去の入選作 |
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