与野党の反応
施政方針演説めぐり

安倍総理大臣が衆参両院の本会議で行った施政方針演説について、各党の反応です。

自民党 二階幹事長「大変立派な説明」

自民党の二階幹事長は記者会見で「全般的に要所要所でしっかりした発言があり、安倍総理大臣がいつも考えていることについて大変立派な説明をしてもらった。われわれはそれに応えて国会に臨んでいきたい。消費税率の引き上げは大変難しい課題だが避けて通れず、与党として厳しい試練に打ち勝って国民の理解と協力を得られるよう、国会を通じて議論を展開していきたい」と述べました。

自民 岸田政調会長「安定感のある演説」

自民党の岸田政務調査会長は記者団に対し「経済や社会保障など、幅広い課題にバランスよく触れていて、安定感のある演説だった。皇位継承など、世界中から注目を集める大きな予定がある中、政治や経済の安定に向けて、しっかり議論を行っていかなければならない。消費税率の引き上げを円滑な形で実現することは財政再建を考える上でも、大変重要だ」と述べました。

また、厚生労働省の統計調査の問題については「政府の信頼を回復するためにしっかり努力しなければならない。特別監察委員会の再調査も、国民が納得するものでなければならない」と指摘しました。

自民 石破元幹事長「憲法改正トーン落ちた」

自民党の石破元幹事長は記者団に対し「憲法改正について、ずいぶんトーンが落ち、そっけなく、あっさりした表現だったという印象だ。安倍総理大臣の中で、優先順位や熱意の配分に微妙な変化があったのではないか。参議院選挙があるから、トーンを抑えたのかもしれないが、憲法改正を選挙で問うのも考え方ではないか」と述べました。

また、厚生労働省の統計調査の問題について「組織的かどうかや、誰が知っていたのかといった事実関係が明らかにならなくては議論のしようがなく時間を空費するだけだ。政府もきちんと心して臨まなければならない」と指摘しました。

立憲 枝野代表「統計調査問題から完全に逃げている」

立憲民主党の枝野代表は記者団に対し「何かを説明し、説得して、理解を求めるのが演説というものだと思うが、項目を並べ、平板に朗読していた印象だ。統計調査の問題も、全貌解明や再発防止に向けた具体的な話やさまざまな経済統計に影響を与えていることへの言及も全くなく、完全にこの問題から逃げているという内容だった」と述べました。

そのうえで枝野氏は30日の代表質問について「短い時間だが私たちの目指す社会像を示し、統計調査や消費税の問題など国民的な関心が高く、重要な問題に絞って政府の見解を問いたい」と述べました。

国民 玉木代表「データを恣意的に利用」

国民民主党の玉木代表は記者団に対し「非常に中身が薄かった。都合の悪いことは言わず、都合のいいところだけ、データを恣意(しい)的に利用し、うまくいっていると見せかけていることが本当に色濃く出た。限界を迎えているアベノミクスの実態を明らかにする審議を厳しく行っていきたい。統計の問題で、再び予算案を修正しなければならないようなことになれば内閣全体の問題で、安倍総理大臣や閣僚の責任問題に発展するので精緻な議論を積み重ねていきたい」と述べました。

公明党 山口代表 憲法改正は「抑制的な発言」

公明党の山口代表は記者団に対し「平成最後の施政方針演説で、安倍政権が取り組んできたさまざまなテーマに幅広く言及していた。特に、消費税率の引き上げに際して取り組むべき課題を分かりやすく国民に説明していたほか、外交の面でも、日本がリーダーシップを発揮すべき課題をしっかりテーマに据えていた」と述べました。

また山口代表は憲法改正について「本来の総理大臣の立場としての言及に戻ってきた。憲法の議論は、国会のテーマであることを踏まえながら、議論の深まりを期待するという抑制的な発言だった」と述べました。

共産党 志位委員長「全く新味のない内容」

共産党の志位委員長は記者会見で「使い古され、ぼろぼろになった政策スローガンの羅列で全く新味のない内容だった。厚生労働省の統計調査の報告書で、組織的隠蔽がなかったと結論づけたことがいちばんの問題だが、演説では触れておらず、報告書の立場の撤回が統計不正にまともに取り組むのかの試金石になる。演説で引用した明治天皇の和歌は、戦意高揚のために使われたもので、施政方針演説に位置づけるのは憲法の平和主義に真っ向から反するもので強く抗議したい」と述べました。

維新 馬場幹事長「憲法改正 やる気なくなったか」

日本維新の会の馬場幹事長は記者会見で「憲法改正が演説の1番最後に出てきて、やる気がなくなったのかなという感じがした。わが党は、消費税率10%引き上げの凍結を訴えているが、行政のむだな仕事やむだな人員を減らし、ぞうきんで言えば、完全に絞りきって、1滴の水も出ない状況になったうえで、負担をお願いするのが当然だ」と述べました。

自由党 小沢代表「ちょっと程度が悪い」

自由党の小沢代表は記者会見で「全般的に、いろんなことについて、抽象的なきれい事を並べていたが、施政方針演説としては、ちょっと程度が悪いと思う。例えば、経済政策で、GDPや所得が増えたとか言っていたが、現実には、今回の『数値の改ざん事件』でわかったように所得も増えていない。実質的に国民の暮らしを守っていくための具体的な政策は聞かれなかった」と述べました。