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高知の民話継承の第一人者、市原麟一郎さんをしのんで

~土佐のエンコウ伝説~ 新日本風土記「仁淀川」の撮影での思い出
  • 2023年11月08日

また1人、土佐の偉人が亡くなりました。
土佐民話継承の第一人者、市原麟一郎(りんいちろう)さんです。101歳でした。
市原さんは70年以上にもわたって高知県各地に口頭で伝わる民話を聞いて回り、記録に残しました。自らも語り部となって、子どもたちに民話を伝えてきました。
ベレー帽と温かな語り口がトレードマーク。
地元のテレビやラジオにもたびたび出演されていたので、ご存じの方も多かったのではないでしょうか。(高知局カメラマン 世宮大輔)

土佐民話伝承の巨星、市原さんを12年前に撮影していた!

私が市原さんにお会いしたのは2011年の夏、
「新日本風土記」の撮影現場、仁淀川のほとりにある集落の保育園でのことでした。
もう12年も前のことになりますね。
市原さんはその時すでに90歳目前!でしたが、大変お元気でした。

話していただいたのは、土佐のエンコウ(カッパ)伝説。
「むやみに川に近づいてはならない」という先人たちの教訓を、紙芝居で教えてくれました。

それまでは騒がしかった子どもたち。
紙芝居が始まると、たちどころに静まり返って市原さんの話に聞き入っていました。
今でも強く印象に残っています。

出演してもらったコーナーをご紹介

当時の番組(新日本風土記「仁淀川」)から、市原さんに出演してもらったコーナー「淵の伝説」を、少しだけご覧いただきましょう。

仁淀川のほとり
お地蔵さまの供養が行われていました
集落の人も参加します
「見渡し地蔵」という名のお地蔵様
仁淀川沿いにいくつも並び、皆、川の方を向いています
川の安全を見守る、お地蔵様です
カン、カン、カン(拍子木の音)
ひとつきょうはね、仁淀川に伝わる昔の話をしようかね
市原麟一郎さんの紙芝居が始まりました

みんなあは、エンコウを知っちゅうかよ?
そうそう、カッパのことをね、土佐ではエンコウと言う

子どもたちは、小さい頃から川に潜む危険を教えられます

深い淵の底にひそんじょって、時たま出てきてはね、泳いでる人間の子どもを水の中にひっぱる
そんないたずらをするやつじゃ

市原さんが子どもたちに伝えた話は、仁淀川流域に暮らす人たちの教訓に基づいています。

仁淀川の中流、エンコウが住むという、ミタライの淵
水面は静かですが、途中からいきなり深くなっています
梅雨時や台風の増水は、川底の思わぬ部分を深く削ることがあります
静かな淵を、決してあなどってはならぬと伝える、エンコウの伝説です

いかがでしたか?

あらためて、市原麟一郎さんのご冥福をお祈りいたします。

新日本風土記「仁淀川」のホームページ
 

番組のホームページでは、あゆ釣りや土佐和紙、沈下橋など、高知県の魅力的な伝統や風景を紹介しています。あわせてご覧ください。

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    高知県出身
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