【被災地の声】石川県内灘町 断水の牛舎 水を求め鳴く牛たち「早く元どおりに」川上充紀さん
- 2024年01月26日
2024年1月1日に発生した、石川県能登半島地震。
石川県内では、酪農にも影響が出ています。
石川県内灘町の牛舎では断水が続き、今は毎日運び込んだ水をためて牛舎に送っています。
内灘町の酪農家の男性が、思いを話してくれました。
内灘町 200頭飼育の牛舎も断水
金沢市に隣接する内灘町は酪農が盛んで、石川県内の牛乳生産量の5割以上を占めています。
地元の酪農組合によりますと、搾乳の機械やボイラーなど一部に被害が出たものの牛舎の倒壊などは免れ、牛乳の生産を続けているということです。
組合長の川上充紀さんの200頭を飼育する牛舎でも断水し、地震のあとは一時、出荷を停止せざるを得なくなりました。
「牛は体のバランスを崩すと、ミルクのバランスも崩れるんです。そして洗浄も十分できないっていうことは不潔になる、だから出荷停止してましたよ。安定した安全安心な牛乳ができるまでは出さないと。ようやく、今は出てます。それでもまだ100パーセントは出てないですよね」
タンクで運ぶ水も半日で
牛は1日に80リットル程度の水を飲むと言われています。
ふだんは水道管からパイプを通して牛舎に水を送っていますが、断水のため、今はできなくなっています。
地震直後は従業員の力を借りて、バケツなどを使い、ためてあった水を不眠不休で牛舎に運び続けていました。
その後、近くの消防署から水の供給を受けられるようになりました。
牛舎の外に縦横2メートル余りの容器をつくり、タンク車などで運び込んだ水をそこにためます。
そして、そこからポンプを使って牛舎に送っています。
ただ、この水も半日ほどでなくなってしまうということです。
このため1日に2回から3回、消防署に出向いて確保しなくてはなりません。
水は牛に与える以外にも、搾乳の機械の洗浄や牛舎の清掃にも必要です。
川上充紀さん
「今はこう静かになってるでしょ。もうこないだまで大合唱ですよ、この中。モーモーモーモーですよ、『水がない、水がない』みたいなもんでしょう。水をくれないということが分かってるんでしょう」
「こちらも早く元どおりに」
一方、川上さんは、自分たちよりも大きな被害が出た地域の人たちのことを思い、こう話しています。
「これで電気がなかったらとか、そういう人たちのことを見ると…。われわれの仲間もね、大変ですよ、本当に」
「牛は十分、水が飲めないと餌を食べる量も減り、牛乳の品質も基準を満たせなくなって出荷ができず廃棄せざるをえなくなります。被害が甚大な地域を優先してもらいたいですが、こちらも早く元どおりになってほしいです」
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