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【被災地の声】石川県珠洲市三崎町「合言葉」が救った命

  • 2024年01月24日

2024年1月1日に発生した、石川県能登半島地震。

今回の地震では、発生後まもなく津波が押し寄せました。

そんな大変な状況の中で取材にこたえてくださった被災者の方たちがいます。

能登半島の先端に近い珠洲市三崎町寺家下出地区からの声です。

「合言葉」が救った命

能登半島の先端に近い珠洲市三崎町寺家では、住民たちが平時の備えを生かしたことで、全員の命が助かりました。

約40世帯が住むこの地区には、地震発生後まもなく津波が押し寄せ、海沿いに建ち並ぶ住宅が被害を受けました。

寺家下出地区の区長、出村正廣さん(76)によりますと、最大13.5メートルの津波の被害想定があるこの地区では、高台の集会場を避難所とし、ある“合言葉”を共有。

出村正廣さん

毎年欠かさず避難訓練を行い、地震の際の行動を確かめていたということです。

出村正廣さん
「『なにかあったら集会場』。これがみんなの合言葉ですよ。自然に皆さんに根付いていたんかなと思いますね」

高台にある集会場に向かうこの階段は、東日本大震災の後、避難ルートのひとつとして市に要請して設けられたものでした。

この階段の上が集会場

住民たちは今回の地震でこの階段を使うなどして集会場に移動し、難を逃れました。

出村さん
「なんともなしにやっとった訓練が、こんなに大事なもんやと思わなんだ。その意識が生きて、声かけしたりして、誰も犠牲がなかった」

「近所で声かけあって階段へ」

階段で集会場へ避難し助かった1人、竹内信子さん(53)です。

竹内信子さん
「地震のときはもうダメだと思いましたが、何とか命を取り留めました。男性の方から『大津波警報、お姉さん早く逃げて』と言われて。そこで必死に走って、逃げてきました」

 

地震で自宅は倒壊しましたが、体は動かせる状態でした。

自力で脱出すると、近くにいた男性の声かけを受け、階段をかけあがったということです。

自宅に津波が押し寄せたのはそのすぐ後のことでした。

竹内さん
「地震が来たらすぐに集会場に上がってくださいという訓練を毎年していたので、避難ルートは全部把握していましたし、何かあれば逃げると決めてました。近所で声をかけあって、5、6人で集会場のほうに上がっていきました。訓練がなかったら、たぶん皆さん……ね。そう思います」

「私のこと置いていって」女性を救ったのは

住民どうしの助け合いもありました。

病気で足が悪く逃げ遅れていた40代の女性は、隣人に背負われ集会場へ向かいました。

ふだんから付き合いがあり、女性の妹が助けを求めたということです。

女性の母親
「当時私は家にいなかったんですが、子どもたちが言ってました。もう今まで見たことがないほど、海が赤くなって砂になったって。それで妹のほうが『姉ちゃんだめ、これ危ないから』と言ったら『いいよ私のことを置いていって』と言われたので、そんなことできないと泣きながらお隣に行ったそうです」

振り返ると車が…「担ぐしかない」

女性を助けたのは、区長の息子の出村正幸さん(47)でした。

出村正幸さん

地震で自室の本棚が倒れて脱出に時間がかかり、みずからも逃げ遅れていたと当時を振り返ります。

出村正幸さん
「もう、逃げよう逃げようと言う掛け声が聞こえていたんです。みなさん一斉に逃げ始めてるだろうなというのは聞こえつつも、自分は部屋から出るのが手間取ってしまった。そのタイミングで隣の人が助けを求めてきた。始めは車で逃げようと思ったんです」

しかし、車の鍵を取ろうと戻るときに振り返ると、正幸さんの車は津波に流されていたということです。

「すぐ走って、これは担ぐしかないなと。おんぶして集会場に上がったんです」

正幸さんは、すでに津波がひざの下あたりまで来ている中、女性を背負って集会場までの100段ほどの階段を駆け上がりました。

「もしやのために」整備した階段が

正幸さんも、とっさの行動には日ごろの訓練が生きたと語ります。

出村正幸さん
「津波は正直くるはずがない、っていうような認識だったんですけど、もしものためにということで階段を整備して、10年以上、年に数回、避難訓練は自主的にやっていたんですね。それが頭にあったので、隣にいる方を背負って、多少急ではあるんですけれども、逃げることができました」

「すでに皆さん避難しきっているところで、私たちが1番遅いくらいでした。こんなお年寄りたちこんな早く行動できるのかと、びっくりするぐらい、みんなできるんじゃないかと思いましたね」

女性の母親
「娘は『信じられないけど、この私をおぶってってくれた。命の恩人だ』って言っています。よくぞ1回も休まずおぶって上がってくれた。必死の思いで逃げてくれなければ、こんなふうに娘が元気におられなかったと思うと……。それだけで、感謝です」

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