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【被災地の声】石川県七尾市「日本で仕事続けたいけど…」被災した外国人技能実習生の不安

  • 2024年01月25日

2024年1月1日に発生した、石川県能登半島地震。

疲れが出て体調が悪化する人や、避難生活の中で亡くなる人も相次いでいます。

そんな大変な状況の中で取材にこたえてくださった被災者の方たちがいます。

七尾市で被災した、外国人技能実習生として働くグエン・ティ・クイン・チャンさんの声です。

七尾市 工場で仕事中に

ベトナム人のグエン・ティ・クイン・チャンさん(21)は、2022年の11月から外国人技能実習生として、七尾市の工場で食品加工の仕事をしてきました。

グエン・ティ・クイン・チャンさん

1月1日も、工場で仕事中でした。

これまでに経験したことのない大きな揺れで、何が起きたのか考えられないほどだったといいます。

グエン・ティ・クイン・チャンさん
「最初は大丈夫かなと思ってみんな仕事を続けていました。でもそのあとの揺れは大きくて、とても怖くて。包丁が落ちたり、机やいすが倒れたりしました。怖くて立ったまま動けなくなって、他の人が引っ張ってくれて机の下に隠れました。職場の中で建物が倒壊したらどうしようと」

その後、会社の人の案内で避難を始め、外に出ました。

「屋根とかも落ちていて、道もだめになっていた。怖かったです」

グエンさんたちは近くの山にいったん避難し、揺れが収まるのを待ちました。

会社の人が布団を持ってきてくれて、その布団にくるまって寒さをしのぎながら、ただただ待ったということです。

2時間ほど後に近くの避難所に移動し、実習生の仲間と一緒に一晩を過ごしました。

避難所での様子

日本語がうまく理解できず…

翌日、寮に戻ると室内は家具が倒れ、ものが散乱している状態でした。

さらに、断水の影響で水が使えませんでした。

日本に来て1年余り。

ことばがうまく理解できず、給水所の場所が把握できませんでした。

生活用水を確保するため仲間と湧き水を探し、水をくんで体を洗ったりトイレを流したりしていたといいます。

「会社もすごい被害 戻れない」

その後、七尾市内にいた同じ実習生11人とともに近くの自治体に身を寄せました。

職場からは「工場の復旧のめどが立たない」などと連絡があったということです。

グエンさんは、来日するために借金をしているうえに、5人いる家族への仕送りも欠かせません。

グエンさん
「会社もすごい被害を受けて戻れないです。いつ営業を再開できるかわからない状態だと聞きました。すごくいい会社だからほかの会社に移りたくないけど、仕事ができないのは困ります」

「すごくいいところ でも…」

グエンさんは、職場や地域について、とても好きだと話しています。

「すごくいいところ。景色もいいし、好きです」

一方、グエンさんの次の仕事は、見つかっていません。

グエンさん
「仕事や住む場所がどうなるかわからないので心配です。家族のためにお金を稼ぎたいし、日本の文化や日本人の技も学びたいので日本で仕事を続けたいです」

支援団体「1日も早く仕事できるように」

名古屋出入国在留管理局によりますと、石川県にいる外国人の技能実習生は、2023年6月末の時点で4600人余りに上っているということです。

現在の技能実習制度では実習生の職種の変更は認められておらず、今回の地震では特例措置として一定期間のアルバイトが許可される形になっています。

しかし石川県内の実習生を支援する団体では、今回の地震で実習生らの将来への不安は強まっているとして、職種変更の規制を緩和するよう求めています。

支援団体 山田和夫 代表理事

「実習生は安全が保証されて長期的に収入を得られる環境を求めているが、制度が変わらなければ難しいのが現状だ。1日も早く仕事ができるようにすることが第一だ」

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