【解説】浜松市の行政区再編、何が変わる?
- 2023年12月27日
浜松市の行政区は令和6年1月1日に7区から3区に再編されます。住民票の手続きは必要?運転免許証は?年賀状は届く?そもそもなんで再編するの?そんな身近な疑問に答えます!
再編でどうなるの?
行政区が再編されると、実際の暮らしの中では、何が変わるのですか?
いまの行政区が左の図の7区で、2024年1月1日に右側の3つの区になります。
中央区、浜名区、天竜区の3つですね。
3区になることで、市民に関係があるのは「住所」です。天竜区以外に住んでいる人は、浜松市の後ろに続く区の名前の、浜松市○○区の部分が変わります。
実は手続きはほぼ必要なし!
引っ越しなどで住所が変わる際には、いろんなところに手続きが必要だと思うのですが、まず、住民票や戸籍の変更は必要になるんでしょうか。
浜松市は、住所変更手続きは市民はほぼ必要ないとしています。住民票や戸籍など市の公的サービスにおける住所変更は公的機関が行います。
運転免許証も気になります。
運転免許証は、次に更新するときに自動的に書き換えられるそうです。
電気やガスなどの公共サービス、銀行やクレジットカード会社などの民間会社はどうでしょうか。
市は、大手企業に関しては一括して企業側で切り替えることを確認できているとのことです。ただ、サービスを提供する事業者が多岐にわたり、すべてを確認できているわけではないそうなので、心配な場合は、それぞれ事業所に確認してほしいとのことでした。
住所変更をしなくてはいけないのに、気がつかないというケースもあると思うのですが。
住所変更が直ちにできていなくてもサービスが停止するようなことはないそうです。
自分で手続きが必要な場合でも、直ちに影響が出ることではないのは安心ですね。
年賀状も届く
もし変更が遅れた場合、荷物や郵便物は届くのでしょうか。特に今の時期でいうと、年賀状を書いている方も多いと思うのですが、古い住所でも大丈夫ですか?
郵便番号や、住所の字名、それに番地は変わらないので、いまの区の名前がついた住所でも届くそうです。
住所が変わると言っても、市民がやることは、意外とないんですね。
そうですね。一方で、市内の企業などでは影響が出ています。
企業は、会社の住所が入った封筒や名刺を新しい住所に作り替えなければならず、印刷会社には注文が相次いでいるということです。また、看板や印鑑の住所変更なども必要で対応に追われるなど、一時的ではあるものの負担は生じています。
行政サービスはどうなる?
7つある区が3つになると、そこで提供されていた行政サービスもまとめられてしまうのですか。
市は、行政サービスは基本、維持するとしています。
同じサービスが提供されるということですね。
はい、そうです。こちらが再編によって変わる組織図です。
区役所は7つから3つになりますが、他の4つの区役所も「行政センター」という名前で残ります。協働センターも名前が「支所」に変わるところもありますが、施設は同じ場所に残ります。
組織や建物の名前が変わっても、いずれも同じ場所で同じ手続きなどが行えるということです。
なぜ再編が必要?人件費の削減
同じサービスを提供して、住所が変わるだけ。
ならば、なぜ、再編をする必要があるのでしょうか。
区の数を減らすことで、職員を減らすことができ、人件費が大幅に削減できるとしています。
浜松市は政令指定都市なので、地方自治法によって、2つ以上の区を設置することが義務付けられています。加えて、その区の単位で、戸籍・住民基本台帳、選挙管理委員会に関する事務などを行わなければいけない、とも定められているんです。
7つの区それぞれで、同じ事務をする人がいたということですね?
そうなんです。区がたくさんあると、同じ事務であっても、それぞれの区で行わなければいけない業務が生じてしまい、それに携わる職員の配置が必要となります。
今回の区の再編で、区の数を減らすことで、重なっていた業務の職員を段階的に減らせるため、人件費が削減できるとしています。
市によりますと、5年かけて少しずつ80人余りを減らして、その結果、年間で6億5000万円の削減を見込んでいます。
今後の効果は臨機応変さが鍵!
人件費削減は大きいですが、業務が重なっている職員の削減だけでは、再編の効果は一時的ではありませんか。
それを解決する鍵は「臨機応変さ」です。
今回の再編で、区役所の3つはそのまま区役所ですが、残りは行政センターになると先ほどもお伝えしましたが、行政センターは、区役所と違って法律の縛りがない組織になるので、市の裁量で臨機応変にサービス提供体制や職員配置を最適化できます。
臨機応変に変えられる、ということですね。
はい。これにより市は、今後の少子化などの社会課題や、デジタル化などの社会変化になどに合わせて、柔軟で効率的な組織運営を計りたいとしています。
今後、再編した浜松市がどうなっていくのか、注目ですね。
市は、今回の再編を行政の効率化だけではなく、住民自治の強化のきっかけにしたいとしています。
そのために地域にあった課題や要望をくみ取りやすくするための地域密着型の組織「地区コミュニティ協議会」を設置できる仕組みを整えるなど行政に住民の意見が届きやすい環境作りを目指しています。
まちを作るのは行政だけではありません。
市民も自らのまちをどうしたいのか、どうして欲しいのか、これを機会に考えて、行政と両輪となって自分たちのまち作りに生かして欲しいと思います。
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