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静岡のうなぎ!三島市の天然うなぎハンターに田中洋行アナ密着

  • 2023年07月25日

古くからうなぎが名物の静岡県三島市。おいしさの理由は、富士山などを源とする豊富な湧き水にあります。清涼な川に生息するうなぎは川魚特有のくさみが少なくおいしいと人気です。
日没後の暗い川に入って、伝統の漁法で大きなウナギをとる“うなぎハンター”に、田中洋行アナウンサーが密着してきました。

うなぎハンター 金子久人さん

うなぎハンター、金子久人さん(74)です。

うなぎハンター金子久人さん

金子久人さんは養鶏で卵を取ったり、ミツバチの巣箱を設置してハチミツを取ったりするかたわら、天然のうなぎを取っています。
白焼きしたうなぎを見せてもらうと、あまりの大きさにびっくりしてしまいました。

1キロを超えるうなぎの白焼き すごく大きいです!

うなぎは肉厚で、見たことのないほどの大きさでした。通常、うなぎ屋に供されるうなぎは大きくて300グラム程度ですが、このうなぎは1キロを超えていたそうです。

「天然のうなぎは1キロを超えても大味(おおあじ)にならず、味やうまみが強いんですよ。毎年、好きな方から要望を受けて取りに行きますが、すべて売れてしまいますね。1キロ超えるうなぎだと5人前くらいになります(笑)」。(金子さん)

伝統のうなぎ漁「もじり漁」

7月中旬。漁に同行させていただきました。使うしかけは「もじり」と呼ばれるこの地域伝統の筒状のかごです。
もじりもサイズがさまざまですが、こちらは1メートル以上と、見たこともないような大きなかごでした。もちろん使用には許可が必要です。

うわっ!結構重たいですね!(もじりを持つ田中アナ)

素材は竹でできているので、そのままでは浮いてしまいます。大きなもじりは沈めるために、重りも、重たいものが付けられています。持つと、ずっしりしていました。
中をのぞくと……。

両サイドにろうと状の入り口があり、入ったら出られない仕組みです。赤い網の袋の中にエサが入っています。よくミカンが入っているあの網ですね。

仕掛けに入れるエサの天然のアユ

金子さんによりますと、入れるアユも養殖ではなく天然のアユの方がうなぎの食いがいいそうです。このアユをぶつ切りにして網に入れます。

やぶをかき分けて川に向かいます。

向かうのは、狩野川に何年も通って見つけた1級ポイントだそうです。

背丈ほどのやぶの中をかき分けて進む

この日はくもりでしたが、夏の午後にこの作業を行うのは決して楽ではありません。虫も多く、草で肌を切ることもあります。

川岸に近づくとダイナミックに川に投げ入れます。74歳とは思えないほどの力強さです。もじりは流されないように川岸にしっかり紐でくくり付けます。

さあ、うなぎは入るかな?

深夜、もじりを回収
うなぎは入っているか?!

もじりを入れて5時間後。深夜10時、確認しに行きます。
暗いなか、やぶに向かいますが、私はどこから入ったかわからなくなってしまいました。
金子さんは迷わず仕掛けの位置にたどり着きました。

川から引き上げて期待して中を覗きます。

うなぎは入っているか!?

しかし、この日投入した2か所の仕掛けにうなぎはかかっていませんでした。残念!

「もじりは川の流れを読んでうなぎの通る場所を考えて入れますが、自然が相手ですからとれない時もあります。きょうはちょっと流れがきつかったですね」(金子さん)

1キロ超えの大うなぎ!

同行した日はあいにく取れませんでしたが、取れたうなぎを地下水で生かしているというので見せてもらいました。

大きなうなぎがいます!!

さらされていたのは前日に取れたという3匹のうなぎ。大きさがバラバラですが、大きなものは1キロを超える特大うなぎです。

1キロ超えの特大うなぎ

天然うなぎはやや黄色味がかった色をしているのが特徴です。太さは私の手首ほどもあります。うなぎはカニやミミズ、アユなどを食べて大きくなる魚です。エサとなる生きものが多ければその分、うなぎのサイズも大きく、数もいます。改めて三島周辺の豊かな川を実感させられました。

三島のうなぎ うまさの秘密は水

金子さんの敷地内の井戸からは毎分500リットルの水が出て、養鶏やうなぎの飼育に使っています。

三島市は富士山や箱根からの地下水が豊富で、市内に多くあるうなぎ店では今でも余分な脂やくさみを落とすために、数日間、湧き水にさらしてから調理しています。

うなぎハンター金子久人さん

「うなぎは住む場所によって味が変わります。それは食べるエサだったり、生息する水の環境によるものですが、三島周辺は湧き水が豊富で、うなぎの好物のアユもたくさんいます。そのためうなぎの味がいいんです。毎年この時期になると天然うなぎを食べたいというお客さんは多いです。いつまでもいいうなぎが住む場所であってほしいですね」。(金子さん)

豊かな川の自然が残る狩野川

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  • 田中 洋行(たなか・ひろゆき)

    NHK静岡 アナウンサー

    田中 洋行(たなか・ひろゆき)

    大学で海洋生物を学んでNHKアナウンサーに。
    人と海との関係は奥深く、魅力だけでなく環境の問題や歴史なども長年取材、発信しています。「しず海ひろば」で静岡の海を発信しています!

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