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NHK静岡 しず♡LOVE 夏 西伊豆 かも風鈴 ガラスのまちの名産品

西伊豆の夏の風物詩、かも風鈴。末永万智キャスターが取材!
  • 2023年07月24日

暑い夏に涼しさを感じさせてくれる風鈴。 
ガラスのまちとして知られる西伊豆町では、
地元で採れた珪石を使って、地元のガラス作家さんたちが作った 「かも風鈴」の展示が
おこなわれています! 
7/12(水)にしずラブ中継でお伝えしたテーマを、記事でさらに深掘りします!

涼し気な音色 ガラスのまちのかも風鈴 西伊豆町

西伊豆町 宇久須地区にある宇久須神社。 

ここでは、去年からこの時期に、「かも風鈴」の展示がおこなわれているんです。

ずらっと並んだ青色の風鈴、その数240個! 西伊豆の空と海を表現しています。 
すべて、地元西伊豆のガラス作家さんたちの手作り。 
 

色や形もそれぞれ違うので、音の高さも違うんです。
風鈴が一斉に鳴ると、音の広がりを感じられます。

かも風鈴は、約25年前、地域を盛り上げようと、作られ始めました。 
特徴は、西伊豆の風土を表現していること。 
海と空の他にも、西伊豆の美しい夕陽を表現したものや、 
名産のところてんをイメージしたものなどがあります。 

夕陽・ところてん

観光客からアイデア募集 超ユニークな風鈴たち

もう一つ。 まちの人がとても大事にしている取り組みがあります。
それが、 西伊豆を訪れた観光客から風鈴のデザイン案を募集し、 
ガラス作家さんたちがそれを再現するというものです。 
こんな個性的な風鈴が作られていました! 

関取風鈴や、ナポリタン風鈴。 UFOに吸い込まれる牛、かさじぞうなどなど… 
町内の黄金崎クリスタルパークには、他にもたくさんのユニークな風鈴が展示してあります。
こんなものが風鈴に!?というデザインのものばかり。
どれもアイデアがおもしろくて、惹きつけられてしまいます。
このうち、関取風鈴とUFOの風鈴を作った、 
西伊豆町在住のガラス作家、生島賢さんにお話を聞きました。

 

西伊豆町のガラス作家・生島賢さん
生島賢さん

毎年とんでもないデザインが上がってきて、刺激を受けてます。
自分たちガラス作家には絶対に思いつかないアイデアなので、
とても難しいけど、再現することが活動の原動力になってますね。 

とにかく毎回チャレンジングだそうですが、作家の皆さん、プロ魂に火がつくんだとか。 
描く人も、作る人も、見る人も楽しめる、地域の大事なイベントのひとつです。 


西伊豆の夏の風物詩 かも風鈴の引き売り 

西伊豆町のみなさんに夏の訪れを感じさせる風物詩はもうひとつ。
かも風鈴の引き売りです。 

手作りのかも風鈴をリヤカーに乗せて、 町中を練り歩いて売っていきます。 
20年ほど前からおこなわれています。 
普段は、作家さんや町役場の方などがリヤカーを引きます。 
この音を聞くと、まちの方々は「夏が来たなあ…」と感じるんだそう。 
ガラスのまちならではの取り組みです。 

なぜ 西伊豆はガラスのまちなのか? 

そもそも、なぜ西伊豆町がガラスのまちと言われているのか? 
それは、約90年前から、ガラスの原料となる珪石が採掘されていたからなんです。 

珪石の採石場
画像提供:西伊豆町

最盛期には、国内の板ガラスの約8割に西伊豆の珪石が使われていたそう。 
一大供給地であり、珪石の質もとても良かったんだそうです。 
かも風鈴にも、西伊豆で採れた「かも珪石」が使われています。

真ん中の石が「かも珪石」

現在は採掘は終わっていますが、ガラスのまちという文化を残していこうと
さまざまな取り組みを始めました。 
町内にガラスの博物館、黄金崎クリスタルパークを作ったり、 
県内外からガラス作家を呼び込み、工房を作ってもらったり。 
町を挙げて取り組んできました。 

ガラス工房訪問! 機材もすべて手作り 

生島さんのガラス工房

約20年前に県外から移住してきた生島さんのガラス工房にお邪魔しました。
町の支援を受け、自動車部品工場の跡地に機材を揃えました。 

なんと!機材は、すべて生島さんの手作りなんだそう! 

材料を集めてご自身で作った機材

部品を集め、組み立て、微調整を繰り返して作り上げました。
自分で作ったものは、自分でメンテナンスができる。 
よりよいものにするため、20年経った今も、完成途中だそうです。 

観光客のアイデアを形にする、ユニークな風鈴。 
生島さんは、一発で作るそうです! 

 

生島賢さん

頭の中で失敗するのはタダなので。
犬の散歩とか、他事をしながら考えて、頭の中で何度も何度も失敗します。
今まで習得してきた技術を記憶から引っ張り出して、
だいたい一発で作り上げます。

何度も試作を繰り返すと思っていた私…。
あんなに複雑なデザインをたった一回で再現する技術力にとても驚きました。 

地域愛詰まった かも風鈴の魅力とは 

生島さんによると、 
その地でとれた珪石を使ってガラス作品を作れる場所はなかなかないんだそうです。 
西伊豆の珪石で、西伊豆の風土を表現する。 
また、訪れた人のアイデアを全力で再現する。 

取材をして、 
ガラス作家さんたち、黄金崎クリスタルパークの皆さん、西伊豆町役場の皆さん…。 
地域が一体となって取り組んでいるんだということを肌で感じました。 
地域愛が詰まったかも風鈴。

生島賢さん

これからもいろんなデザインの風鈴をどんどん作っていきたいです。

今後も、さらに広がりを見せていきそうです! 

※宇久須神社でのかも風鈴の展示は2023年9月26日(火)までおこなわれます。 

放送後記 

7/12(水)の中継当日。 
会場の宇久須神社に来てくださった生島さんが 

生島賢さん

末永さん、今日はサプライズ風鈴がありますよ!楽しみにしててください。

と笑顔。 なんとなんと…!! 

NHK静岡放送局のキャラクター、しずくんの風鈴を作ってきてくださったんです! 
あまりの可愛さと、生島さんの素敵な心意気に、大声を出して喜んでしまいました(^^) 
とってもとっても感動しました。 


みなさんの温かさに触れて、西伊豆の魅力、そしてかも風鈴の魅力をさらに深く知りました。
西伊豆愛が生み出すかも風鈴。
ぜひ一度訪れて、その音色を聴きに行ってみてはいかがでしょうか。


☆「たっぷり静岡」での中継のようすはこちら☆


 

  • 末永万智(すえながまち)

    NHK静岡放送局 キャスター

    末永万智(すえながまち)

    岐阜県揖斐川町出身。
    「ひるしず」キャスター、「たっぷり静岡」リポーター。
    趣味はお笑いラジオを聴くこと。特技は英語。

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