広島と長崎の市長 核兵器
禁止条約の署名・批准を要請

来年1月に発効する核兵器禁止条約をめぐって、広島市と長崎市の市長が20日、外務省の鷲尾副大臣と面会し、条約の実効性を高めるためには多くの国が参加すべきだとして、政府に対して条約の署名・批准などを求める要請文を手渡しました。

広島市の松井一実市長と長崎市の田上富久市長は20日午後、外務省で鷲尾副大臣と面会し、来年1月に発効する核兵器禁止条約に関する要請文を手渡しました。

要請文では「条約の実効性を高めるためには、核保有国とその同盟国をはじめ多くの国が参加し、条約の効果的な運用と発展に向けた議論を進めることが重要だ」として政府に対して、条約の署名・批准と、それまでの間、締約国の会議にオブザーバーとして参加するよう求めています。

これに対し、鷲尾副大臣は「要請文の内容はしっかりと受け止めたい。日本としては核兵器国と非核兵器国の共通の基盤を形成することが重要だと考えている」と述べました。

核兵器の開発と保有、それに使用を禁じる核兵器禁止条約をめぐって、政府は、核廃絶という目標は共有しているものの、安全保障上の脅威に適切に対処しながら核軍縮を前進させる日本のアプローチとは異なるとして、署名・批准を行わない方針を表明しています。

広島市長「核廃絶に向けた世論をしっかり形成したい」

会談のあと、広島市の松井市長は記者団に対し、「核兵器禁止条約は核廃絶に向けた一里塚だが、ただちにその実現が目の前に来るものではなく、大きな課題を抱えている。世界の市民と核廃絶に向けた世論をしっかり形成していきたい」と述べました。

公明 山口代表「日本政府は橋渡しを」

公明党の山口代表は、広島市と長崎市の市長から要請を受けたのに対し、「核兵器禁止条約が発効する機会を迎えたことは、非核三原則と相通ずるものであり、非常に大きな意義がある。核保有国とそうでない国の橋渡しをできるような役割を日本政府に果たしてもらいたい。締約国会議もいずれは広島市や長崎市が主催し、国が応援する取り組みもあっていいのではないか」と述べました。