菅首相「インド太平洋地域の
平和で繁栄した未来ともに」

菅総理大臣は、訪問先のインドネシアで記者会見し、「ASEANと日本でインド太平洋地域の平和で繁栄した未来をともに作り上げていくため、ベトナムとインドネシアの両首脳と、具体的な協力を進めていくことで一致した」と述べ、就任後初めての外国訪問の成果を強調しました。

菅総理大臣は、就任後初めての外国訪問としてベトナムとインドネシアを訪れ、日本時間の正午すぎから、インドネシアのジャカルタで記者会見を行いました。

この中で、菅総理大臣は、「われわれが助け合い絆を強めていけるのは、ASEANとわが国が、インド太平洋という地域で、法の支配、開放性、透明性といった基本原則の実現を共に目指しているからだ」と述べました。

そして、「ASEANが去年発出したインド太平洋に関するアウトルックと、日本が掲げる『自由で開かれたインド太平洋』は、多くの本質的な共通点を有し、日本は、『アウトルック』を全面的に支持する」と述べました。

そのうえで、菅総理大臣は、「両国の首脳会談で、ASEANと日本で、インド太平洋地域の平和で繁栄した未来をともに作り上げていきたいという思いを伝え、具体的な協力を進めていくことで一致した」と述べ、就任後初めての外国訪問の成果を強調しました。

南シナ海について

一方、菅総理大臣は、海洋進出を強める中国を念頭に、「インド太平洋では、自由で誰にでも開かれ、法の支配が貫徹されて初めて地域の平和と繁栄が実現するが、南シナ海では逆行する動きが起きており、懸念を持って注視している」と述べました。

そして、「日本は、南シナ海の緊張を高めるいかなる行為にも反対する。南シナ海をめぐる問題のすべての当事者が、力や威圧によるのではなく、国際法に基づき紛争の平和的解決に向けて努力することの重要性を改めて強調する」と述べました。

日韓関係について

また、菅総理大臣は、ことしの日中韓3か国の首脳会議の日程は決まっていないとしたうえで、「日本企業の差し押さえ資産が現金化される事態になれば、日韓関係にとって、極めて深刻な状況を招くので、絶対に避けなければならない。このことは、これまでも繰り返し申し上げてきているとおりだ」と述べました。

日米など4か国の結束確認について

菅総理大臣は、先に日本やアメリカなど4か国が、自由で開かれたインド太平洋の実現に向けて結束する方針を確認したことに対し、中国の王毅外相が、「インド太平洋版の新たなNATO=北大西洋条約機構を作ろうとたくらんでいる」と警戒感を示したことについて、「わが国としては、『自由で開かれたインド太平洋』は、特定の国を対象としたものではなく、考え方を共有するいずれの国とも協力することができると考えている。『インド太平洋版のNATO』をつくるという考えは全くない」と述べました。

コロナ対策など 重要政策を説明へ

菅総理大臣は、今月26日に召集される臨時国会について「新型コロナウイルス対策と経済の回復の両立を自民党総裁選挙で約束した。デジタル庁の設置や不妊治療の保険適用などの少子化対策、グリーン社会の実現など『ポストコロナ』の世界に向けた考え方の説明を所信表明演説でしっかり行いたい」と述べました。

日本学術会議について

日本学術会議が推薦した会員候補6人が任命されなかったことをめぐり、菅総理大臣は「人選は出身などにとらわれず、広い視野に立ってバランスのとれた活動を行っていただきたいという意味から『総合的、ふかん的』と申し上げている。国の予算を投じる機関として国民に理解されることが大事だ」と述べました。

そして日本学術会議の在り方について「先週、梶田会長と会って『各分野の研究者の英知を集めた団体なので、国民に理解されるように学術会議をよりよいものにしていこう』ということで合意した」と述べたうえで、井上科学技術担当大臣を窓口に議論を続けていく考えを示しました。

放射性物質を含む水の処理について

菅総理大臣は、東京電力福島第一原子力発電所のトリチウムなどの放射性物質を含む水の処分方法について「いつまでも方針を決めないで先送りすることはできない。今後できるだけ早く政府として責任を持って処分方針を決めたい」と述べました。

そのうえで「現時点で政府としての処分方針や決定時期を決めた事実はない。これまでの議論や意見を踏まえ、政府内でも議論を深めていきたい。風評被害対策についても、しっかりと取り組んでいきたい」と述べました。