府 第2次補正予算案を
国会に提出

政府は、新型コロナウイルスの感染拡大に対応するため、事業者の賃料の負担軽減や雇用調整助成金の拡充などを盛り込んだ今年度の第2次補正予算案を8日、国会に提出しました。

主な政策をみますと、治療薬の開発や医療従事者への慰労金など、医療提供体制の強化に2兆9892億円、賃料の負担を軽減するため売り上げが落ち込んだ事業者に原則、賃料の3分の2を半年分給付する制度に2兆242億円を計上しています。

雇用調整助成金の1日当たりの上限額を1万5000円に引き上げるとともに、勤め先から休業手当を受け取れない人に月額で最大33万円を給付する制度などに4519億円をあてます。

企業の財務基盤の強化策や無利子・無担保の融資制度など資金繰り支援の拡充に11兆6390億円を盛り込みました。

また、「地方創生臨時交付金」を2兆円増額するほか、影響が長期化した場合に備えて予備費を10兆円積み増し、このうち5兆円分については生活支援や医療提供体制の強化などに充てるとしています。

この結果、追加の歳出は一般会計の総額で31兆9114億円と、補正予算としては過去最大となり、必要な財源は全額を国債の追加発行で賄います。これにより、当初予算と第1次補正予算を含めた今年度の国債の新規発行額は過去最大の90兆2000億円に達し、歳入の56%を国債に頼ることになります。第2次補正予算案は、8日、審議入りし、今週中に成立する見通しです。

菅官房長官「あらゆる対策講じている」

菅官房長官は記者会見で、第2次補正予算案について、「新型コロナウイルスへの対策を抜本的に強化し、国民の事業と雇用を守るため、あらゆる対策を講じている。さまざまな指摘があることについて、政府として、しっかり説明をしていきたい」と述べました。

麻生財務相「早期成立に尽力」

今年度の第2次補正予算案について、麻生副総理兼財務大臣は、記者会見で、「引き続き、雇用と事業と生活を守り抜くとともに、次なる第2波、第3波など、いわゆる流行のおそれに対して万全を期すという意味で備えを固めておくという考えのもと、さらに強化するために必要なものだと考えている。早期成立に向けて、尽力していきたい」と述べました。

西村経済再生相「10兆円予備費は丁寧に説明」

西村経済再生担当大臣は、記者会見で、10兆円の予備費について、「全国知事会からも増額の要望があり、さまざまな事態に備えるためにも、予備費をしっかり確保して臨機応変に対応できるようにすることが大事だ。与野党の協議で、与党側から使い方の一定の考え方を示したと聞いており、政府としても、国会審議でできるだけ丁寧に説明し、理解を得られるよう努力したい」と述べました。

自民 岸田氏「政府は説明責任を」

自民党の岸田政務調査会長は記者会見で、「『Go Toキャンペーン』などの委託は十分な透明性と効率性を確保することが重要だ。政府にはしっかりと説明責任を果たしてもらい、第2次補正予算案の1日も早い成立に取り組んでいきたい」と述べました。

また、国会の会期延長の必要性については、「延長して議論する大切さと、政府にコロナ対策や経済対策に専念してもらう大切さを考えたうえでの判断になる」と述べました。

自民 石破氏「政府が腑に落ちる答えをする必要がある」

第2次補正予算案の審議をめぐって、自民党の石破元幹事長は、持続化給付金の事務委託などについて、政府が国民の納得を得られる説明を行う必要があると指摘しました。

自民党の石破元幹事長は記者団に対し、「いま批判の強い委託費の問題などがあるが、早く適切な形で困窮している方々に届くようにしなければならない。『なぜ遅いのか』といった声は強く、政府が腑(ふ)に落ちる答えをする必要がある。そうすれば、内閣支持率も改善していくのではないか」と述べました。

一方、石破氏は、二階幹事長と会談して、9月に予定している石破派のパーティーでの講演を依頼し、二階氏から了解を得たことを明らかにしました。

このあと二階氏は、記者会見で、「講演の要請があれば喜んでうかがうのが幹事長の仕事だ。ほかのグループでも呼ばれればいつでもうかがう。それ以上でも以下でもない」と述べました。一方で、「石破氏は経験豊かな政治家の1人だ。将来さらに高みを目指して進んでもらいたい期待の星の1人だ」と述べました。

立民 安住氏「いつになったらお金が届くか分からない」

8日から国会で審議入りする第2次補正予算案について、立憲民主党の安住国会対策委員長は記者団に対し、持続化給付金の事務委託などに国民の不信感が高まっているとして、徹底追及する考えを強調しました。

この中で、立憲民主党の安住国会対策委員長は「持続化給付金の不透明な委託に加え、雇用調整助成金はオンラインシステムが全く機能せず、『Go Toキャンペーン』に至っては一からやり直しで、いつになったらお金が届くか分からない」と批判しました。

そのうえで「スピード感が無く、不透明で安定感が無いなどといった、国民の不満、不信や疑問を、野党として安倍総理大臣に直接、問いただす」と述べ、第2次補正予算案の審議の中で徹底追及する考えを強調しました。

一方、来週17日までの国会の会期について、安住氏は「新型コロナウイルスの感染の第2波、第3波が来たときに、国会を開いておいたほうが即時、対応できるのではないか。『国会を止めるな』という運動を国民に提案したい」と述べ、会期の延長を与党側に求める考えを示しました。

立民 逢坂氏「会期延長して3次補正を」

立憲民主党の逢坂政務調査会長は、記者団に対し、「空前絶後の10兆円の予備費は、野党側の強い要求で一部の使いみちが決まったが、予備費であることに変わりは無く、政府にフリーハンドを与えることは財政民主主義の観点から問題だ。国民の『この予算案では対応できない』という声も踏まえ、国会の会期を延長し、第3次補正予算案を編成して補うことが必要だ」と述べました。

国民 原口氏「予備費10兆円は執行までに時間かかる」

国民民主党の原口国会対策委員長は記者会見で、「政府は国民や医療機関の現状が分かっていないから、予備費に10兆円も積んでいるが、査定などのため、執行までに時間がかかる。第2次補正予算案も全体の額は少なく、予算委員会が終われば、国会を閉じようという動きもあるが、とんでもない。国会を開けて国民の負託に応えるべきだ」と述べました。

公明 山口氏「立法府が使い方コントロールを」

公明党の山口代表は、党の参議院議員総会で、予備費について、「いちばん大事なのは、必要になった時に、スピーディーに現場のニーズに対応できることだ。平時の予備費の扱いとは違った観点が重要で、立法府が使い方をコントロールし、チェックしていく役割も果たしていかなければならない。第2次補正予算案の意義を自覚したうえで、審議を尽くし、一刻も早く現場に届けていきたい」と述べました。