政権運営や衆院解散戦略に影響か 参院徳島高知 衆院長崎4区補選

衆議院長崎4区と参議院徳島高知選挙区の補欠選挙の投票日は10月22日。
いずれも与野党が対決する構図で岸田総理大臣の政権運営や衆議院の解散戦略に影響を与えることも予想されます。2つの選挙の最終盤の戦いに密着しました。

参議院徳島高知選挙区の戦いは

参議院徳島高知選挙区は「合区」で2つの県を1つにした広大な選挙区です。

参院徳島高知選挙区の地図
参院徳島高知選挙区(茶色の部分)

補欠選挙に立候補しているのは届け出順に無所属の元参議院議員で衆議院議員も務めた広田 一氏(55)。自民党の新人で元高知県議会議員の西内 健氏(56)の2人です。

参院補選徳島高知選挙区の立候補者

広田氏“政府の物価高騰対策は不十分だ”

元国会議員の広田一氏は民主党政権で防衛政務官などを務め、今回、幅広い支持を得ようと無所属で立候補しました。政府の物価高騰対策は不十分だと指摘しています。

参院補選徳島高知選挙区広田氏の演説

「物価が上がる、ガソリン代が上がる。しかし、実質賃金は下がり続け年金も下がる。国民の皆さんに直接行きわたる税金の使い方に変えるべき」

広田氏は野党4党の支援を受けています。
立憲民主党の岡田幹事長が応援に入り岸田政権との対決姿勢を強調しました。

広田氏を応援する立民。岡田幹事長

「(今回の補欠選挙は)岸田政権が発足して2年間経ちその中間評価だ。どんどん国民の考えとかけ離れたところに政治が行ってしまっている。広田一を地域の代表として国会に送り出そう」

広田氏はこの選挙に勝って今の政治を変えるきっかけにしたいと訴えています。

インタビューを受ける広田氏

「緩み、おごりの原因になっている今の岸田自民一強 独占の政治に対し風穴をあけて、もう一度政治に緊張感を作っていくようにしっかりと訴えていきたい」

西内氏“過疎化する地域の産業を守りたい“

自民党の西内健氏は県議会議員を4期務め自民党高知県連の幹事長も務めました。地域の暮らしを守る重要性を強調しています。

参院補選徳島高知選挙区西内氏の演説

「農林水産業や商工業、これらの社会を支えてきた人々の暮らしを守るのが今回の戦いだと思っている。人々の生活を守るために地方の声をしっかり届けていかなければならない」

与党側は組織を挙げた選挙戦を展開しています。
岸田総理大臣も、推薦する公明党の山口代表とともに応援に入り負けられない戦いだと訴えました。

西内氏を応援する岸田総理大臣、公明党山口代表

「自民党、公明党が今日まで進めてきた政治、皆さんに訴えている政策、これを実現するために西内健さんを選んでいただきたい」

西内氏は自民党が持っていたこの議席を守り抜きたいと強調しています。

インタビューに西内氏西内氏

「働く人の賃金を上げていってそして都会との格差、これを少しでも是正していきたい。国政は政党政治ですのでこの議席をしっかり守って地域の声を届ける、そういう役割のためにも絶対勝たなければいけないと考えています」

衆議院長崎4区の戦いは

議員の死去に伴う衆議院長崎4区の補欠選挙は2人が立候補し、激しい論戦が交わされています。

衆議院長崎4区の地図
衆議院長崎4区(茶色の部分)

補欠選挙に立候補しているのは立憲民主党の前の衆議院議員で社民党が推薦する末次精一氏(60)、自民党の新人で公明党が推薦する元証券会社社員の金子容三氏(40)の2人です。

衆議院長崎4区補欠選挙

末次氏“生活者に寄り添った政治ができていない”

立憲民主党の前の衆議院議員、末次精一氏は元県議会議員で、国政への挑戦を続け前回衆議院選挙の比例代表で初当選しました。生活者に寄り添った政治ができていないと岸田政権を批判しています。

衆議院長崎4区補選 末次候補(立民)

「格差がある社会かそれとも頑張った人が報われる社会か。政権与党と野党の一騎打ちである。(今回の選挙は)これからの岸田政権の行く末を左右するそういう戦いである」

山間で演説する末次氏

選挙戦では秘書としてつかえた小沢一郎氏から教わった選挙運動を実践。山あいから海沿いまで選挙区の隅々まで回っています。

総決起集会には立憲民主党の泉代表と推薦する社民党の福島党首が出席し連携をアピールしました。泉代表は地域の再生には末次さんが不可欠だと支持を呼びかけます。

末次氏を応援する立民・泉代表

「商店街のシャッターが増えていくことをもう見逃せない。人口が減っていくことをそのまま看過できない。その思いが今、末次さんを動かしている。あと一押しぜひ皆様のお力をいただきたいと思います」

漁港で漁業者と話す末次氏

離島が多く輸送コストがかかる長崎県。燃料の価格が今、全国で高い水準にあります。選挙期間中、末次氏は漁業者などから切実な声を聞きました。
物価高騰の中、ガソリン税の引き下げや給食費の無償化など「生活者目線の政策」を実行すべきだと訴えています。

取材に応じる末次氏

「物価高の対策、それと増税の政策。それに対しての不満というものは大きいと思います。暮らしが大変という悲痛な声は多く聞きます。皆様の暮らしを向上する政治というものをこれからも徹底してやっていきたい」

金子氏“地方の活力なくして国の活力なし”

自民党の新人、金子容三氏は大学卒業後、ことしの7月まで大手の証券会社に勤めていました。告示日にはこのように支持者に訴えました。

自民・金子氏の第一声

「地方の活力なくして 国の活力はないわけですから地方の声を、長崎の声を国に届けなければいけない。そういう強い思いがわたくしが国政を目指す理由のひとつであります」

政治家だった祖父や父に似ているといわれる金子氏

金子氏は地元の魚市場で開かれたイベントに出向きました。父は県知事や農林水産大臣、祖父も農林水産大臣を務めました。会場にいた女性から「お父さんとそっくり」とか、「おじいさんのことも知っています」と声をかけられていました。

金子氏を応援する自民・茂木幹事長と金子氏に対する公明党の推薦状

選挙期間中、自民党の幹部が相次いで入り、組織をいかした戦いを展開します。公明党からの推薦状を両手でかかげ与党の一体感をアピールします。

岸田総理大臣も駆けつけ、金子さんの経験を政府の取り組みに生かしたいと支援を呼びかけました。

岸田総理大臣の応援演説

「金子さんは世界の金融を舞台に仕事をしてきました。新しい資本主義、経済モデルを進める上において大きな力であると思いますし、即戦力であると確信をしています」

金子氏は新たな技術や規制緩和を活用した地域の活性化を訴えています。

取材に応じる金子氏

「地域は強くなっていかなければいけない。地域が強くなっていくためには新しいことにも取り組んでいかなければいけない。これまで17年間の民間で経験してきたことをフルに活用することによって、皆様と一緒にそういったまちをつくっていきたいと訴えていきたい」

2つの補欠選挙 与野党が総力を挙げた戦い

いずれも与野党が対決する構図の衆議院長崎4区と参議院徳島高知選挙区の補欠選挙は岸田総理大臣の政権運営や衆議院の解散戦略に影響を与えることも予想され、与野党が総力をあげています。
投票日は10月22日です。
(10月19日 ニュース7 ニュースウオッチ9で放送)

高知局奥村記者
高知局記者
奥村 敬子
2019年入局。県政担当。愛知県出身で高知局は5年目。戻りガツオには高知の柑橘・ぶしゅかん派です。
高知局竹村記者
高知局記者
竹村 知真
2018年入局。旭川局、岩見沢支局、札幌局を経て8月から高知局。高知のイチ押しはもちもちのウツボのタタキ。
徳島局平安記者
徳島局記者
平安 大佑
2019年入局。防災・スポーツを担当 沖縄県出身 徳島県での勤務は5年目 最近はみそ汁にスダチを入れます。
徳島局記者有水記者
徳島局記者
有水 崇
2017年入局。札幌局に赴任し2021年から徳島局。行政担当を経て、現在は遊軍。
長崎局谷口記者
長崎局記者
谷口 真央
2018年入局。秋田局を経て8月から長崎局へ。県庁取材を担当。九州の焼酎を勉強中。
長崎局秋山記者
長崎局記者
秋山 大樹
2018年入局。岐阜局を経て8月から長崎局・佐世保支局へ。県北部の農業から基地問題まで幅広く取材。