【よく見て実感 天草の崖のリスクとは】”体感”防災教室
- 2024年04月18日
ハザードマップは全てのリスクを網羅していない?
授業を実施したのは、苓北町立坂瀬川小学校。
まず、子どもたちと確認したのが、学校近くのハザードマップ。
学校沿いの道をみていくと、途中、色が塗られていないところがあります。
ハザードマップ上はリスクが指摘されていませんが、
本当にリスクがないのか、子どもたちと見に行ってみました。道沿いには住宅が並んでいます。
そして、先ほどの色が塗られているところの境目付近に到着すると、崖の様子が変化しました。
画像の左側が、色が塗られているところ、画像の右側が塗られていないところです。
左側は土砂崩れを防ぐため、コンクリートで擁壁が作られています。
一方、右側も崖が続きますが、こちらは何も施されていません。
そして、もう少し進んでみると、道に崖が迫ってきました。
今回、授業を監修した熊本大学の松田博貴教授は、
ハザードマップに色が塗られる条件を教えてくれました。
急傾斜地の指定というのは、人が住んでいるエリアに基本的にはしてある。
今、崖と道の間に家はないので、ここは指定の対象から外れている。
天草には土砂災害が起こりそうなところがいっぱいあるので、
その全てに先ほどのコンクリートの壁を作ることは難しい。
急傾斜地崩壊危険区域は、一般的に住宅が5戸以上、もしくは公共施設がなければ指定されないため、みなさんも、避難経路などに危険な崖や斜面がないか、
改めて確認してみてください。
この場所でどんな土砂災害が起こる?崖をよく見ると・・・
松田教授は、この崖をよく見てほしいと私たちを促しました。
わかりますか?斜めに線が入っています。これ地層の境目です。
地層と土砂災害がどう結びつくのでしょうか?
地層が傾いていると、普段はぴたっとくっついていても、
大雨の時とかに地層と地層の間に水が入ると滑りやすくなるから
傾いている方に向かって地滑りが起こるリスクがある。
一方、傾いているのが見えている道沿いの方は、
地滑りのリスクは少ないけれども、急な斜面なので崖崩れが起こるかもしれない。
松田教授によると、坂瀬川小学校あたりは、地層が北側の海に向かって下がっているそうです。
では、地滑りのリスクがある北側に向かってみると・・・
そこには上の方までコンクリートに覆われた高い壁が!
学校の目の前にある見慣れたはずのコンクリートの壁には、思いがけないリスクが隠れていました。
松田教授は、授業の最後に、地域をよく観察する大切さを伝えました。
ふだんから防災目線で地域を見直すと、悪いところとか危ないところだけではなく
今度は良いところも目にする。例えば、ここにはきれいな花が咲いているとかね。
地域や家の周りはどうなっているのか、
良いところ悪いところ全部見ておくと良いと思います。
天草の西側は地滑り地形が多い!
天草はこれまでも多くの地滑りが発生してきました。
こちらの画像は、過去の地滑りが起こった地形を黒い線で囲った地図です。
左が苓北町を含む天草下島、右が熊本市周辺。
斜面が多い、金峰山周辺を見てみても、天草の方が圧倒的に多いのです。
「地すべり地形分布図」で検索すると、お住まいのエリアの地図も検索ができますので、
活用してみてください。
動画はコチラ
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