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【熊本特有の「高潮」のリスクとは?】”体感”防災教室

  • 2023年08月07日

そもそも高潮ってどんな災害?

「高潮」災害は、
低い気圧によって海水が持ち上げられることや
強風が海から陸に向かって吹くことで沿岸部の潮位が上がり、
その海水が一気に陸に流れ込むことで被害をもたらすものです。
おもに台風が接近した時に発生することが多いです。

被害は熊本でも・・・

平成11年9月24日の台風18号は、天草半島付近から熊本県北部を横断。
八代海に面する宇城市不知火町松合地区では、高潮被害が発生しました。
46棟の家屋が全壊し12人が亡くなりました。
 


今回は、当時、そして今も松合地区に住む鳥井義孝さんに話を聞きました。
 

「あと数分遅かったら死んでいた」

被災前、松合の平屋建ての団地で妻と娘二人、家族4人で過ごしていたという鳥井さん。
高潮被害が起こる前日は、
風もなく、台風が自分の住んでいる地域を通るという予想も聞いていなかったといいます。
そして、その日は、家族全員で和室で就寝。
状況が一変したのは、まだ辺りが暗い明け方3時ごろだったといいます。
 

たまたま瓦が飛んできたと思うんです。窓ガラスが割れたんですよね

鳥井さんは、そこで目を覚ましました。
ガラスが割れた窓から強い風が部屋に入るのを、ふすまを使って防ごうとしました。
外ではものすごい風が吹き荒れていることに、そのときはじめて気が付いたといいます。
その数分後のこと。娘さんから・・・

「玄関から水が入ってきた!」

その時、和室にいた鳥井さんも足元の異変に気が付きました。

「畳が浮いてきている」

その時に「潮が来た」とわかったといいます。
鳥井さんは、とっさに「上に避難しなければ」と考え
押し入れの上の段に上り、その天井を拳で突き破って
屋根裏へと家族を一人ずつ持ち上げ、避難させました。
最後に残った鳥井さんが屋根裏にのぼった1~2分後に、1階は水没。
玄関に水が入ってきてから、わずか5分くらいの出来事だったといいます。
その後、水かさはさらに上昇し、屋根裏の断熱材もが、浮き始めました。
そのため、屋根の上への避難も考えましたが、雨風が強く、外に出ることはできません。
ただただ、水かさがこれより高くならないことを願うことしかできませんでした。
結果的には、屋根裏でどうにか難を乗り過ごしました。
ただ・・・
もし、水かさがあと1m高かったら・・・
もし、窓ガラスが割れずに起きるのが少しでも遅れていたら・・・
もし、天井を突き破ることができなかったら・・・
いくつもの偶然が重なって助かった命でした。
高潮は「一気に来る」
なぜ早めに避難しなかったのかと当時を振り返ります。
 

鳥井さんは、
自分と同じように逃げ遅れないよう
地域のリスクを知ることや
自分自身や家族、地域の人たちと「避難」について
事前に考えておくことが重要だと話します。
 

有明海、八代海は高潮のリスクが高い

高潮は気象状況によって沿岸部の広い範囲で発生する可能性がありますが、
より発生しやすい地形的な2つの条件があります。
①「遠浅」であること
浅い方が、風の影響を受けやすく、海水が沿岸に集まりやすいのです。
有明海、八代海ともに遠浅な海が広がっています。
②湾の奥行が深いこと
湾の奥行が深いと、より多くの海水が一か所に集まりやすくなります。
八代海の宇城市付近が特にその条件に当てはまります。
 


それ以外でも県内の沿岸地域の広い範囲で、高潮のリスクがあります。
まずは、ハザードマップを見て、リスクを確認してください。

こういう場合は特に高潮に注意!

まずは、台風の進路です。
平成11年の台風18号のルートがこちら。

こういったルートは特に注意が必要です。
つまり、南西や西から有明海や八代海近くを通るルートの場合です。

次に潮の干満にも注意が必要です。
平成11年の台風18号のときは、
ちょうど台風の接近と大潮の満潮の時間が重なりました。
そうでない場合でも高潮のリスクはありますが、
大潮の満潮時刻と重なるときはより一層の警戒が必要です。

動画はコチラ

  • 後藤 佑太郎

    熊本放送局アナウンサー

    後藤 佑太郎

    担当番組:クマロク!
    趣味:ランニング、剣道、ゴルフ

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